訳あり王子の守護聖女
無理を言って王宮まで送り届けてくれた御者には迷惑料を含めたお金を既に払っているため、留まる理由はないのだ。
視界に『蒼玉の宮』を捉えると、シエナとラークは私たちの先に回り込み、息ぴったりな動きで左右同時に正面玄関の扉を蹴り開けた。
走る勢いそのままに扉を蹴り開けたせいで蝶番が哀れな音を立てたけれど、ルカ様は気にせず宮中へ飛び込んだ。
「なっ、何事です!?」
「敵襲!?」
「ルカ王子!? いつの間にお帰りに――」
玄関付近にいた侍従や衛兵たちが驚愕しているが、やはり全てを無視してルカ様は廊下を疾走し、階段を上って主人の部屋へ突撃した。
一声もかけずに扉を開け放って控えの間を通り、寝室の半ばまで進んだところでようやく足を止める。
少し遅れてシエナとラークも部屋に入ってきた。
「――――」
そして、二人ともが、私と同様に言葉を失って立ち尽くす。
天蓋付きの寝台に横たわっているノクス様は、もう死んでいると言われても驚けない程に衰弱していた。
見慣れた指輪と魔導具――角灯《ランタン》に似た照明器具が寝台横のチェストに置かれている。
視界に『蒼玉の宮』を捉えると、シエナとラークは私たちの先に回り込み、息ぴったりな動きで左右同時に正面玄関の扉を蹴り開けた。
走る勢いそのままに扉を蹴り開けたせいで蝶番が哀れな音を立てたけれど、ルカ様は気にせず宮中へ飛び込んだ。
「なっ、何事です!?」
「敵襲!?」
「ルカ王子!? いつの間にお帰りに――」
玄関付近にいた侍従や衛兵たちが驚愕しているが、やはり全てを無視してルカ様は廊下を疾走し、階段を上って主人の部屋へ突撃した。
一声もかけずに扉を開け放って控えの間を通り、寝室の半ばまで進んだところでようやく足を止める。
少し遅れてシエナとラークも部屋に入ってきた。
「――――」
そして、二人ともが、私と同様に言葉を失って立ち尽くす。
天蓋付きの寝台に横たわっているノクス様は、もう死んでいると言われても驚けない程に衰弱していた。
見慣れた指輪と魔導具――角灯《ランタン》に似た照明器具が寝台横のチェストに置かれている。