訳あり王子の守護聖女
「…………おうきゅう……」
 壊れた人形のような動きでぎくしゃくと、部屋を見回す。

 見るからに高級感が溢れまくっている調度品からして、ここがただの民家じゃないことはわかっていたけれど、まさか王宮だったとは……。

 王宮なんて、下民の私には一生縁がない場所だと思ってた。
 私が暮らしていたエレスト神殿は皇宮の隣にあったけれど、お前は下民だから敷地内に入るな、皇宮が穢れるって注意されていたし。

「……ルカが……王子様……」
「そうです」
 きっぱり頷くモニカさんの前で、私は頭を抱えた。

 長い沈黙があった。
 言うまでもなくそれは、私が現実を受け入れるまでの時間である。
 その間、モニカさんは辛抱強く待っていてくれた。

「………。あの……ルカ王子はいまどこにおられるのでしょうか?」
 私は頭を抱えていた両手を下ろし、震え声で尋ねた。

 ルカ――もとい、ルカ様には可及的速やかに謝らなければならないことがある。全力で。

「ルカ様は自室でお休みになられています。この三日間、ルカ様はステラ様に付きっ切りだったんですよ」
「え……」
 私、三日も眠ってたの?
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