訳あり王子の守護聖女
 ルカ様は責任を感じているようで、引き続き二人を客人として『柘榴の宮』に住まわせている。

「ルカ様のご厚意に甘えさせていただいておりましたが、こうしてノクス様のご無事も確認できたことですし、明日にはラークと共に王宮を出ようと思っています」

「二人ともいなくなっちゃうの?」
 思わず縋るような声が出る。

 私はこのまま二人が王宮にいるものだと思い込んでいた。

 だって、それくらい二人は馴染んでいたのだ。
 特にラークはルカ様の気の置けない友人のようだった。

「いつまでもタダ飯食ってるわけにはいかねーだろ。オレは勘当されてるから家には帰れねーし、冒険者にでもなろうかってシエナと相談してたとこ」

 そう言って、ラークはティーカップを口に運んだ。

「待って欲しい。提案がある。二人とも、ルカの守護騎士になる気はないか?」

「え?」
 シエナはきょとんとしているけれど、ラークは動じずノクス様を見返した。
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