訳あり王子の守護聖女
「前々から護衛をつけたいと思っていたんだよ。でも、ルカは貴族嫌いな上に、少々人間不信だからね。相手が貴族だろうと平民だろうとそう簡単に心を許さないんだ。自分より弱い護衛は要らないと言い張って、誰のことも拒否していた。だが、君たちは腕が立つ。何より、非常に珍しいことにルカが気に入ってる。君たちがいなくなればルカは寂しがるだろう。どうだろう? 守護騎士になることを検討してみてもらえないか? 直接礼を言いたかったのも理由の一つではあるけれど、私はこの話をするために君たちを呼んだようなものだ」

「……どうします? 私は構いませんが、多分、ルカ様に一番求められているのはあなたですよ、ラーク」

「んー」
 ラークは考えるような唸り声を上げ、持っていたティーカップをソーサーに置いた。

「ルカに頼まれたら引き受けてもいいけどさ。ノクスの命令だっていうなら嫌だね。頼み事は本人がするのが筋ってもんだろ?」

「ノクス様は王太子なんですよ? この国で二番目に偉い方なんですよ?」
「んなもん知らねー」
 ぷいっとラークは顔を背けた。

「だからあなたは何様……」
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