訳あり王子の守護聖女
 ノクス様も声を上げて笑い、ようやくルカ様がこちらの存在に気付いた。

 まるでばね仕掛けの人形のような動きで立ち上がり、みるみるうちにその顔を赤く染めていく。

「い、いつからそこに……」
「少し前から。『あはははは。お前本当に可愛いなー』」
 真顔かつ棒読みでラークに復唱されるという辱めを受けたルカ様は顔を覆った。

「………………兄上。俺を殺してください」
「こら。冗談でもそんなこと言わない。朗報があるから聞きなさい。ラークとシエナはルカの守護騎士になっても良いと言ってくれたよ」

「……本当に?」
 まだ若干顔を赤くしたまま、ルカ様は手を下ろして二人を見た。

「お前が頼むなら引き受けてやってもいいけど、どうする?」
 ラークは腰に手を当て、シエナは彼の隣で微笑んでいる。

「……頼む。俺の守護騎士になってくれ、ラーク、シエナ」
 ルカ様は緊張した様子で二人の前に立って頭を下げた。

「いいよ」
「謹んでお受け致します」
 ラークは軽い口調で答え、シエナはより一層笑みを深めた。
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