訳あり王子の守護聖女
「おはよう、ロゼッタ。……いつも不思議なのだけれど、あなた一体何時に寝て何時に起きてるの? 私、あなたが寝ているところを見たことがないわ」
「女官はそうあるべきだと思っておりますので。もうお着替えになられますか?」

「ええ。朝食の前に神殿に行くわ。ルカ様たちのご無事をお祈りしたいの」
 ルカ様は現在公務のためにラークとシエナを連れてユグレニー公国へ行っている。

 あの後ラークとシエナは略式の騎士叙勲を受け、正式にルカ様の守護騎士となった。

「かしこまりました。ではドレスの準備をして参ります」
 一礼して、ロゼッタは続きの衣装部屋へと消えた。
 優秀な女官がドレスを選んでくれている間に、化粧台の前に座って櫛で髪を梳く。

 化粧台の鏡に映る自分の瞼は少しむくんでいる。
 細切れな睡眠を繰り返していたせいだ。

 気になって指の腹で軽く瞼を揉んでると、ロゼッタがドレスを手に戻ってきた。
 慌てて手を下ろし、何もなかったふりをして立ち上がる。

「とりあえずこちらのドレスでいかがでしょうか?」
 彼女が掲げたのは金の刺繍が入った茶色の縦じま模様のドレスだ。
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