訳あり王子の守護聖女
「カーテシーも上出来です。百点満点とはいきませんが九十点くらいは差し上げられますので、これにて合格と致しましょう。明日からは本格的にダンスレッスンを始めます。一週間後に王家主催で開かれる舞踏会には当然、ルカ王子もご出席予定ですが、ダンスを完璧に習得するまでステラ様の参加は許しません。幸い、舞踏会という名はついていますが実質はダンスパーティーです。簡単なステップさえ覚えて頂ければ大丈夫ですよ」

「わかりました。頑張ります」
「良いお返事です。それでは本日のレッスンはこれまでと致します。踊り続けてお疲れでしょう。しっかりお休みください」

「はい。ありがとうございました」
 退室した夫人を見送ってから、私は寝台に仰向けに寝転がり――たいのを我慢して、よろよろと化粧台の前の椅子に座った。

「疲れたー……」
 一時間も踊り続けたせいで足が棒のようだ。

 足だけではなく、伸ばし続けた首や背筋、もはや身体中の筋肉が痛い。

 ダンスってこんなに体力を消耗するものだったのか。
 真面目に踊ったことなんてなかったから知らなかった。
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