訳あり王子の守護聖女
 一週間ぶりに会うルカ様に少しでも気に入ってもらいたくて、ドレス選びには時間がかかってしまった。

 ミアやロゼッタの意見を聞きながら、頭が痛くなるくらいに悩んだ挙句、最終的に選んだのは薄桃色のドレス。

 ふんわり膨らんだ袖と三段になったスカート。
 後ろの腰部分で結ばれたリボンが可愛らしいドレスだ。

 頭にはリボンを結び、シンプルな意匠の小さな首飾りもつけた。

 ――あ、来た。

 頼りない月光の下でも、ぼんやりと浮かび上がる輪郭だけでわかる。
 真ん中にいるのがルカ様で、向かって右にいるのがラーク、左にいるのがシエナだ。

『柘榴の宮』の外灯が照らす範囲内に三人が入るのを待ってから、私はスカートをつまんで優雅に一礼した。

「お帰りなさいませ。長旅お疲れ様でした」
 月と星の社交場と化した夜空を背景に、ルカ様は軽く目を見張って動きを止めている。

 シエナはルカ様と似たような顔をしているし、ラークは「へえ。様になってんじゃん」といわんばかりに唇の端を上げた。

「……どうでしょうか?」
 誰よりもルカ様の誉め言葉が欲しくてドキドキしながら尋ねると、ルカ様は笑った。
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