訳あり王子の守護聖女
腰に剣を下げた黒髪の騎士が唐突に声を上げた。
「何だ。許す。申せ」
「私は過去『戦場の天使』――こと、ステラ様に怪我を癒していただいたことがあります。彼女がいなければ私は今頃、冷たい土の下にいることでしょう」
「陛下、私もステラ様に命を救われた一人です」
赤髪の騎士が片手を上げ、自然と、この場にいる全員の視線が私に集中した。
「なんと。そなたが噂に聞く『戦場の天使』だったのか」
国王の中で私の株が急上昇したらしく、『そなた』と呼ばれた。
「はい……そうです」
気恥ずかしさに頬を赤く染めながら私は認めた。
「陛下、アンベリスの多くの兵士が『戦場の天使』に助けられたと聞きます。ここはひとつ、彼女に褒美を与えるのはいかがでしょう」
ノクス様は私に向かって片目を瞑った。
反応したいけれど、バーベイン様の前でそれは不可能なので、ノクス様と話す機会があれば全力で感謝を述べることを心に誓った。
「そうだな。望むものはあるか?」
バーベイン様に訊かれた私は胸中で飛び跳ねて喜んだ。
しかし、その喜びを表に出すわけにはいかず、恭しく頭を下げる。
「何だ。許す。申せ」
「私は過去『戦場の天使』――こと、ステラ様に怪我を癒していただいたことがあります。彼女がいなければ私は今頃、冷たい土の下にいることでしょう」
「陛下、私もステラ様に命を救われた一人です」
赤髪の騎士が片手を上げ、自然と、この場にいる全員の視線が私に集中した。
「なんと。そなたが噂に聞く『戦場の天使』だったのか」
国王の中で私の株が急上昇したらしく、『そなた』と呼ばれた。
「はい……そうです」
気恥ずかしさに頬を赤く染めながら私は認めた。
「陛下、アンベリスの多くの兵士が『戦場の天使』に助けられたと聞きます。ここはひとつ、彼女に褒美を与えるのはいかがでしょう」
ノクス様は私に向かって片目を瞑った。
反応したいけれど、バーベイン様の前でそれは不可能なので、ノクス様と話す機会があれば全力で感謝を述べることを心に誓った。
「そうだな。望むものはあるか?」
バーベイン様に訊かれた私は胸中で飛び跳ねて喜んだ。
しかし、その喜びを表に出すわけにはいかず、恭しく頭を下げる。