訳あり王子の守護聖女
嘘です。味がしません。匂いもしません。
極度の緊張で味覚も嗅覚も機能停止しています。
ティーカップを持つ手が震えるんですけども!!
「そうか、良かった」
ギムレット様は薔薇色の唇の端を軽く持ち上げた。
「この茶葉の独特な匂いと味は私には合わなかったが、女官の間では好評らしいので試しに出してみたのだ。何でも美容に良いらしいぞ。気に入ったなら後で部屋に届けさせよう」
「ありがとうございます……」
大きな音を立てないよう、慎重にティーカップをソーサーを置いた私の右隣で、ルカ様は静かに座っている。
ノクス様は優雅にお茶を飲んでいるけれど、ルカ様は口をつけようともしていない。
「菓子は嫌いか?」
体調が悪いんですかとルカ様に尋ねようとしたそのとき、ギムレット様に声をかけられた。
仕方なく質問を諦めてギムレット様に向き直る。
「いえ、好きです」
三段になっている銀製の菓子器に乗せられた菓子は全てが芸術品のようであり、大変美味しそうだが、緊張しきっているいまの私に食欲などない。
「なら遠慮なく食べるといい」
「いただきます」
極度の緊張で味覚も嗅覚も機能停止しています。
ティーカップを持つ手が震えるんですけども!!
「そうか、良かった」
ギムレット様は薔薇色の唇の端を軽く持ち上げた。
「この茶葉の独特な匂いと味は私には合わなかったが、女官の間では好評らしいので試しに出してみたのだ。何でも美容に良いらしいぞ。気に入ったなら後で部屋に届けさせよう」
「ありがとうございます……」
大きな音を立てないよう、慎重にティーカップをソーサーを置いた私の右隣で、ルカ様は静かに座っている。
ノクス様は優雅にお茶を飲んでいるけれど、ルカ様は口をつけようともしていない。
「菓子は嫌いか?」
体調が悪いんですかとルカ様に尋ねようとしたそのとき、ギムレット様に声をかけられた。
仕方なく質問を諦めてギムレット様に向き直る。
「いえ、好きです」
三段になっている銀製の菓子器に乗せられた菓子は全てが芸術品のようであり、大変美味しそうだが、緊張しきっているいまの私に食欲などない。
「なら遠慮なく食べるといい」
「いただきます」