訳あり王子の守護聖女
「君にはエメルナ皇国の元・序列第二位の巫女を凌ぐほどの強い神力がある。どうか神殿にはいかず、私の守護聖女となり、その力を私のために役立ててほしい。私の守護聖女となってくれるのならば待遇は保証する。美しいドレスに宝石、望むもの全て与えよう。二度とカエルや雑草を口にせずに済むぞ」
ギムレット様は冗談めかした口調でそう言って笑った――けれど、その笑みは私には響かなかった。
「……『王太子』ではなく『王族』が条件なら、ルカ様の守護聖女になることも可能なんですね」
私はギムレット様に顔を向けながらも、無意識にぼそりと呟いていた。
「ステラは兄上ではなくルカの守護聖女になりたいのかな?」
ノクス様に言われて、はっと我に返る。
――しまった、とんでもない失言だ!
ギムレット様が私を見る目の温度が下がっていることに気づいてひやりとする。
ああ、まずい、王太子の不興を買った!!
「――ルカ」
急に名前を出されて驚いたような顔をしていたルカ様は、ギムレット様に冷たく名前を呼ばれてびくりと肩を震わせた。
「どうやらステラはお前の守護聖女になりたいようだが。お前の意見はどうだ?」
ギムレット様は冗談めかした口調でそう言って笑った――けれど、その笑みは私には響かなかった。
「……『王太子』ではなく『王族』が条件なら、ルカ様の守護聖女になることも可能なんですね」
私はギムレット様に顔を向けながらも、無意識にぼそりと呟いていた。
「ステラは兄上ではなくルカの守護聖女になりたいのかな?」
ノクス様に言われて、はっと我に返る。
――しまった、とんでもない失言だ!
ギムレット様が私を見る目の温度が下がっていることに気づいてひやりとする。
ああ、まずい、王太子の不興を買った!!
「――ルカ」
急に名前を出されて驚いたような顔をしていたルカ様は、ギムレット様に冷たく名前を呼ばれてびくりと肩を震わせた。
「どうやらステラはお前の守護聖女になりたいようだが。お前の意見はどうだ?」