訳あり王子の守護聖女
私が守りたいのはこの人ではない――違う。
「――お待ちください」
特に大声を出したつもりはなかったけれど、その声は凛と東屋に響き渡った。
椅子を引いて立ち上がった私を、全員が気圧されたような顔で見ている。
「申し訳ございません。私は殿下の守護聖女にはなれません。私を救ってくれた人は、私の運命の人は。――私が心から守りたいと願う人は、ルカ様ただ一人なのです。せっかくのお話ですが、お断りさせてください」
私は腰を曲げて深く頭を下げた。
「止めろ」
ルカ様が私の肩を掴み、半ば強制的に座らせた。
私が王太子の敵と認定されることを恐れているのか、その顔には焦燥の色が浮かんでいる。
「俺の守護聖女になったところで何の利益もない。俺はお前に何もしてやれない。一時の感情に流されて人生を棒に振るな。殿下の守護聖女になればお前はきっと幸せに――」
「私の幸せを勝手に決めないでください!」
肩を掴む手を振り払って睨みつけると、ルカ様は怯んだように口を閉じた。
「――お待ちください」
特に大声を出したつもりはなかったけれど、その声は凛と東屋に響き渡った。
椅子を引いて立ち上がった私を、全員が気圧されたような顔で見ている。
「申し訳ございません。私は殿下の守護聖女にはなれません。私を救ってくれた人は、私の運命の人は。――私が心から守りたいと願う人は、ルカ様ただ一人なのです。せっかくのお話ですが、お断りさせてください」
私は腰を曲げて深く頭を下げた。
「止めろ」
ルカ様が私の肩を掴み、半ば強制的に座らせた。
私が王太子の敵と認定されることを恐れているのか、その顔には焦燥の色が浮かんでいる。
「俺の守護聖女になったところで何の利益もない。俺はお前に何もしてやれない。一時の感情に流されて人生を棒に振るな。殿下の守護聖女になればお前はきっと幸せに――」
「私の幸せを勝手に決めないでください!」
肩を掴む手を振り払って睨みつけると、ルカ様は怯んだように口を閉じた。