訳あり王子の守護聖女
「陛下の御前でも言いました、私はルカ様に恩返しがしたいと! ルカ様の守護聖女になることが許されないなら私は誰の守護聖女にもなりません!」
宣言する。
「――………」
ルカ様はなおも唇を開きかけたが、私の強い眼差しを見て説得は不可能だと思ったらしく閉じた。
強い風が東屋を吹き抜け、ルカ様の黒髪が揺れる。
私のドレスも揺れ、イヤリングが引っ張られて耳に軽い痛みを覚えた。
「――ふん」
風が収まった後、聞こえてきたのは実に不愉快そうな声。
「王の子であるかどうかすら疑わしい呪い子を聖女が守護するのか。お笑い種だな」
ルカ様との見つめ合いを止めて正面に顔を戻せば、態度をガラリと変えたギムレット様が長い足を組んで嘲笑していた。
――王の子であるかどうか疑わしい……?
困惑していると、ノクス様はいつになく厳しい目でギムレット様を見据えた。
「兄上。何度も言いますが、王太子ともあろう者が流言に惑わされてはいけません」
「流言か? 真実だろう」
「兄上!」
ノクス様は言葉を強くしたが、ギムレット様の嘲りは止まらない。
宣言する。
「――………」
ルカ様はなおも唇を開きかけたが、私の強い眼差しを見て説得は不可能だと思ったらしく閉じた。
強い風が東屋を吹き抜け、ルカ様の黒髪が揺れる。
私のドレスも揺れ、イヤリングが引っ張られて耳に軽い痛みを覚えた。
「――ふん」
風が収まった後、聞こえてきたのは実に不愉快そうな声。
「王の子であるかどうかすら疑わしい呪い子を聖女が守護するのか。お笑い種だな」
ルカ様との見つめ合いを止めて正面に顔を戻せば、態度をガラリと変えたギムレット様が長い足を組んで嘲笑していた。
――王の子であるかどうか疑わしい……?
困惑していると、ノクス様はいつになく厳しい目でギムレット様を見据えた。
「兄上。何度も言いますが、王太子ともあろう者が流言に惑わされてはいけません」
「流言か? 真実だろう」
「兄上!」
ノクス様は言葉を強くしたが、ギムレット様の嘲りは止まらない。