訳あり王子の守護聖女
最も強い神力を授けられたエレストは初代巫女姫となり、クラウディアを崇めるエレスト教を世界中に広めた。
ベルニカの四国全てにエレスト神殿があるのは、多くの人々が女神クラウディアを信仰している証だ。
「俺の魔法は万物を腐らせる恐ろしい毒の魔法なんだ。五歳のとき、俺は離宮の庭園で初めて魔法を使った。その結果、庭の草木は枯れ果てた。煙を上げて腐臭を放つ溶解した大地を見て、目撃者は一人残らず怯えた。陛下は二度と魔法を使うなと命じた。俺の魔法は国の禁じる『禁忌魔法』に該当する、使い方によっては国を滅ぼしかねない厄災だと」
「……あ」
ふと雪の日の記憶が蘇る。
「一年前にお助けしたとき、ルカ様の周りに倒れていた魔物は全て剣でつけられた傷によって絶命していました。ルカ様は瀕死の状態になっても、陛下との約束を守って魔法を使わなかったんですね」
「そうだ。万物を腐らせ、侵す、呪われた魔法だからな。万物を癒し、浄化する聖女《ステラ》とは対極だ」
ルカ様は自嘲するように言って、息を吐き出した。
「――どうだ? 俺の事情を知ってもまだ、俺の守護聖女になりたいか?」
「もちろんです!」
ベルニカの四国全てにエレスト神殿があるのは、多くの人々が女神クラウディアを信仰している証だ。
「俺の魔法は万物を腐らせる恐ろしい毒の魔法なんだ。五歳のとき、俺は離宮の庭園で初めて魔法を使った。その結果、庭の草木は枯れ果てた。煙を上げて腐臭を放つ溶解した大地を見て、目撃者は一人残らず怯えた。陛下は二度と魔法を使うなと命じた。俺の魔法は国の禁じる『禁忌魔法』に該当する、使い方によっては国を滅ぼしかねない厄災だと」
「……あ」
ふと雪の日の記憶が蘇る。
「一年前にお助けしたとき、ルカ様の周りに倒れていた魔物は全て剣でつけられた傷によって絶命していました。ルカ様は瀕死の状態になっても、陛下との約束を守って魔法を使わなかったんですね」
「そうだ。万物を腐らせ、侵す、呪われた魔法だからな。万物を癒し、浄化する聖女《ステラ》とは対極だ」
ルカ様は自嘲するように言って、息を吐き出した。
「――どうだ? 俺の事情を知ってもまだ、俺の守護聖女になりたいか?」
「もちろんです!」