訳あり王子の守護聖女
 張り切って答えると、ルカ様はびっくりしたように目を瞬かせた。

「……話を聞いていたか? まさかいままで寝ていたんじゃないだろうな」
「失礼な。ちゃんと起きていましたよ。お話を聞いた上で確信したんです。やっぱり私はルカ様の守護聖女になるべきだと」
「何故」
 ルカ様は怪訝そうだ。

「だって、ルカ様の魔法は危険な毒魔法なんでしょう? もしルカ様が暴走したとき、止められるのは私しかいないじゃありませんか!」
 拳で胸を叩いてみせる。

「万が一ルカ様が人を傷つけてしまったり、暴走するようなことがあったら、傷つけたものを私が片っ端から癒して差し上げます。お任せください!」
 私はいかにも自信満々に胸を張っているけれど、本当は自信なんてない。

 でも、できるかどうかわからないなんて弱気なことは言っていられない。

 それをルカ様が望むなら、やるだけだ。

「絶対にルカ様の役に立ちます。だから私を守護聖女にしてください。お願いします!!」

 ルカ様の両手を包むように握り、魂を込めて訴えると、ルカ様は呆気に取られたような顔をして――それから、苦笑した。
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