訳あり王子の守護聖女
よく見れば赤い魔石の中でチカチカと光が点滅している。
まるで所有者である私の危機を必死で訴えているかのようだ。
……なにこれ?
試しに震える指で魔石に触れてみると、森の中に向かってまっすぐに銀色の光の線が伸びた。
一秒、二秒……十秒。
十秒が経つと光の線は消え、魔石の中の光はさきほどより弱々しい明滅を繰り返した。
また魔石に触れてみるけれど、もう光の線は出ず、私は鉛のように重く感じる右手を地面に落とした。
……それにしても眠い。
起きて助けを待つべきなのはわかっているのに、瞼が勝手に下りてくる。
凄く眠いけど、寝たらダメだ。
いま寝たらきっと、二度と起きられない。
猛烈な眠気に負けて目を閉じ、眠ってはいけないと己に活を入れて目を開き、また眠りに落ちかける。
そんなことを繰り返してどれくらい経っただろう。
不意に、前方の森の中から足音が聞こえた。
驚いたことに、足音の主は歩くのではなく走っている。
それも尋常ではない速さで。
ただでさえ視界の悪い森、それも夜の森の中を全力疾走するなんて正気の沙汰じゃない。
まるで所有者である私の危機を必死で訴えているかのようだ。
……なにこれ?
試しに震える指で魔石に触れてみると、森の中に向かってまっすぐに銀色の光の線が伸びた。
一秒、二秒……十秒。
十秒が経つと光の線は消え、魔石の中の光はさきほどより弱々しい明滅を繰り返した。
また魔石に触れてみるけれど、もう光の線は出ず、私は鉛のように重く感じる右手を地面に落とした。
……それにしても眠い。
起きて助けを待つべきなのはわかっているのに、瞼が勝手に下りてくる。
凄く眠いけど、寝たらダメだ。
いま寝たらきっと、二度と起きられない。
猛烈な眠気に負けて目を閉じ、眠ってはいけないと己に活を入れて目を開き、また眠りに落ちかける。
そんなことを繰り返してどれくらい経っただろう。
不意に、前方の森の中から足音が聞こえた。
驚いたことに、足音の主は歩くのではなく走っている。
それも尋常ではない速さで。
ただでさえ視界の悪い森、それも夜の森の中を全力疾走するなんて正気の沙汰じゃない。