美男子戦隊イケメンジャー!(上)
 「しょうがないなー」


 静まり返る部屋の中。

 ナオは私の予想とは反対に優しさが溢れるような柔らかな微笑みを浮かべた。おまけに枕にしていた自分の腕を解いて私に向かって両手を広げてくる。


 「ほら、おいでよ」

 呆然としていた私に聞こえてきたのは、自分の耳を疑うような言葉。


 「へっ?今、なんて言ったの?」
 「おいで」


 やっぱり聞き間違いじゃない。

 えぇっ!?これって抱き締めてあげるってこと?こんなドキドキな展開なんて初めてなんだけど……。


 「来ないの?」
 「いくっ!!」

 こんなチャンス二度とないかも知れないし……。迷ってる暇はない。やったー!


 もうあれこれ疑問とか全部投げ捨ててナオの胸の中に飛び込んだ。


 一歩、大人に近づいた気分だよ。あ、もしかして……。これって乙女マジックパワーのおかげ?

 やだっ。凄いっ!


 「なるほど。本当にくるんだ?参考になった」
 「はい?」


 ナオの胸に埋めていた顔を上げて首を傾げる。
 今、微妙なニュアンスの言葉が聞こえたような……。
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