美男子戦隊イケメンジャー!(上)
 何だかなぁ……。
 釈然としなくて笑い続けるナオの顔を至近距離でじっと見つめる。

 前髪を軽くヘアピンで止めてオデコを全開にしてるナオ。肌なんかスベスベで綺麗だし。黙っていたら美男子なのに。


 「ね、ナオ。ちょっと黙ってみて?」
 「嫌だ」
 「ちょっとだけ。ね?」
 「カンナの言う通りにして俺に得することが何かある?」


 必死にお願いをしてるのに、ナオは首を少し傾けて私の目を真っ直ぐ見つめてくる。

 もうっ。本当にひねくれ屋さんなんだから。


 「あっそうっ。じゃあ、いいよ。黙ってくれないならチューしちゃうもんっ」
 「いや、黙るから勘弁して」


 冗談で言ったのにナオは本気で嫌そうに顔を引き攣らせる。

 そ、そこまで嫌がらなくてもいいのに。ちょっとショック。


 「冗談だよ……」
 「分かってるけど。カンナが言うと本気に聞こえるんだよね」
 「どうしてよっ」
 「だって、ほら、親父にキスしたって前科もあるし」
 「うっ……」

 ナオから引き気味に言われて言葉を詰まらせる。


 確かにそう。ナオの言う通り。私は裕也オジさんにキスをした。

 でも、それは……。


 「赤ちゃんの頃の話でしょ!私は全く覚えてないもん」


 写真に写っていたのを見ただけなのに。ナオったらしつこい。

 ママがナオに『カンナちゃんがね~』なんて教えるからだ……。
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