転生聖職者の楽しい過ごし方
「ルカ。」
リュカが振り向くと、そこに立っていたのは、ウルバーノ王子の側近でありリュカの従兄弟のリベルト・アネーリオだった。
「リベルト。久し振り。」
「何年ぶりかな。」
「プリズマーティッシュへ永住する事にしてからだから、六年くらいかな。」
「こうした形で会うことになるとは…もうこちらへ戻ってはこないのか?」
「永住って、死ぬまでそこに住むって事だからね。」
リュカの眼差しは里桜が一度も見たことのないものだった。
「リオ様、殿下がお話したいと申しております。どうぞ、こちらに。」
リュカはスッとリベルトと里桜の間に立った。
「リオ様をお一人で行かせるわけにはいかない。私と騎士のコンスタンがお供する。」
「殿下はリオ様お一人でと仰っている。」
「突然そのようおなことを殿下が仰った理由をお伺いしてもよろしいでしょうか。今までも謁見の際など、お話しする機会はあったのに。何故、舞踏会の途中なのでしょうか。」
俯いたままで里桜がリベルトに声をかけると、
「リオ様、顔をお上げ下さい。今まで、当国の者のリオ様に対する態度が正当なものでなかった事、この国を代表し私リベルト・アネーリオが心よりお詫び申し上げます。」
リベルトが謝った姿を見た人々はざわつく。
「殿下はリオ様に直接、謝罪をしたいと仰っています。」
「謝罪ならば、ただ今アネーリオ様から頂戴致しましたので、それで十分でございます。それに私がアネーリオ様に伺っているのは、何故急に私と直接話しをする気になったのかの理由でございます。」
リベルトは、少しため息を吐いて、話し始める。
「リオ様は本日、街でアウローラ嬢とお会いになりましたね?」
「はい。お目にかかりました。」
「その時、貴女はアウローラ嬢が魔術で出した火を、弾き飛ばし更には水をかけ消した。」
「はい。」
「通常は渡り人と言えど、国を越えれば魔力はなくなる。貴女がこの国で洗礼を受けた様子もない。何故貴女はこの国でも魔力が消えずにいるのですか?」
「残念ながら私は回りくどい物の言い方が得意ではありません。生まれながらに貴い方たちとは違うので。ですから率直に伺います。昨日とこんなにも態度が変ったのは、私に国を跨いでも魔力があるのがわかったから、と言う事ですか?」
「…。」
「無言は肯定の証と言いますけれど?」
「貴女が何故、魔力を失わずにいるのかを聞きたいのです。」
「それは私にもわかりません。もし、殿下がその理由について私に直接聞きたいのでしたら、御前に参上致しましてもお話しすることはございませんので。その様にアネーリオ様よりご説明頂けませんでしょうか。」
「はい。畏まりました。」
リベルトはそのまま引き返した。
「リュカ、断わってしまったけど、良かった?」
「えぇ。大丈夫です。もし、断わることを許さないのでしたら、リオ様はこの国の騎士にこの場から連れ去られていたはずですから。」
「えぇ?私、捕まるの?」
「そう言う事ではありませんが、王族が下した命令は絶対なので、リベルトがここで引き下がったと言う事は、殿下の仰り方も‘連れてこられたら’のような言い方だったのだと思います。」
「そう…彼が私に会いたいと思えば、私に意志はないって事なのね。」
「そう言う事になりますね。」
「わかった。ありがとう。」
リュカが振り向くと、そこに立っていたのは、ウルバーノ王子の側近でありリュカの従兄弟のリベルト・アネーリオだった。
「リベルト。久し振り。」
「何年ぶりかな。」
「プリズマーティッシュへ永住する事にしてからだから、六年くらいかな。」
「こうした形で会うことになるとは…もうこちらへ戻ってはこないのか?」
「永住って、死ぬまでそこに住むって事だからね。」
リュカの眼差しは里桜が一度も見たことのないものだった。
「リオ様、殿下がお話したいと申しております。どうぞ、こちらに。」
リュカはスッとリベルトと里桜の間に立った。
「リオ様をお一人で行かせるわけにはいかない。私と騎士のコンスタンがお供する。」
「殿下はリオ様お一人でと仰っている。」
「突然そのようおなことを殿下が仰った理由をお伺いしてもよろしいでしょうか。今までも謁見の際など、お話しする機会はあったのに。何故、舞踏会の途中なのでしょうか。」
俯いたままで里桜がリベルトに声をかけると、
「リオ様、顔をお上げ下さい。今まで、当国の者のリオ様に対する態度が正当なものでなかった事、この国を代表し私リベルト・アネーリオが心よりお詫び申し上げます。」
リベルトが謝った姿を見た人々はざわつく。
「殿下はリオ様に直接、謝罪をしたいと仰っています。」
「謝罪ならば、ただ今アネーリオ様から頂戴致しましたので、それで十分でございます。それに私がアネーリオ様に伺っているのは、何故急に私と直接話しをする気になったのかの理由でございます。」
リベルトは、少しため息を吐いて、話し始める。
「リオ様は本日、街でアウローラ嬢とお会いになりましたね?」
「はい。お目にかかりました。」
「その時、貴女はアウローラ嬢が魔術で出した火を、弾き飛ばし更には水をかけ消した。」
「はい。」
「通常は渡り人と言えど、国を越えれば魔力はなくなる。貴女がこの国で洗礼を受けた様子もない。何故貴女はこの国でも魔力が消えずにいるのですか?」
「残念ながら私は回りくどい物の言い方が得意ではありません。生まれながらに貴い方たちとは違うので。ですから率直に伺います。昨日とこんなにも態度が変ったのは、私に国を跨いでも魔力があるのがわかったから、と言う事ですか?」
「…。」
「無言は肯定の証と言いますけれど?」
「貴女が何故、魔力を失わずにいるのかを聞きたいのです。」
「それは私にもわかりません。もし、殿下がその理由について私に直接聞きたいのでしたら、御前に参上致しましてもお話しすることはございませんので。その様にアネーリオ様よりご説明頂けませんでしょうか。」
「はい。畏まりました。」
リベルトはそのまま引き返した。
「リュカ、断わってしまったけど、良かった?」
「えぇ。大丈夫です。もし、断わることを許さないのでしたら、リオ様はこの国の騎士にこの場から連れ去られていたはずですから。」
「えぇ?私、捕まるの?」
「そう言う事ではありませんが、王族が下した命令は絶対なので、リベルトがここで引き下がったと言う事は、殿下の仰り方も‘連れてこられたら’のような言い方だったのだと思います。」
「そう…彼が私に会いたいと思えば、私に意志はないって事なのね。」
「そう言う事になりますね。」
「わかった。ありがとう。」