転生聖職者の楽しい過ごし方
第54話 決断
里桜が気がついた時には、里桜の回りには兵士や騎士がぐるりと囲んでいた。
里桜が行く気ならば、力ずくでも止める気でいるようだ。魔力では圧倒的に強くても、力では無力だ。突破しようとすれば、誰かに担がれて部屋に連れていかれるだろう。魔力の差のある相手に魔力を使うつもりもない。ここは説き伏せるしかない。
「私に行かせて下さい。もし、ここで私が行かなければとしこさんは助からない。それはここにいるみんながわかっている事でしょう?それでも私に行かせないと言うの?」
「行かせません。力ずくでも止めます。」
イレールは強く大きな声で言い放つ。しかし、里桜も怯まない。利子の命が関わっている。決して良い関係性ではなかったが、利子は里桜にとって同じ日にこちらに来た運命共同体の様な存在だった。自分には助けられる術があるのにここで見捨てる事は出来なかった。
「ダメ。私が行きます。行かなければとしこさんが死ぬ。」
「行ったらリオ様が危険です。」
「あなたに私ととしこさんの命を選択をさせる様な事はさせない。そんな事をすればあなたは後悔する。」
「基よりその覚悟です。部下に止めろと命令は出来ませんが、私が力ずくで止めます。」
「退いて。」
「退きません。」
「ど……」
「待て。」
二人の会話を遮ったのはレオナールだ。
「悪いが、誰か急いで神殿より計測石を持て。」
返事をして、一人の騎士が走り去る。
「俺も、リオが現地へ行くことは許可出来ない。」
「だけど……」
「俺が行く。」
「それは、許さない。」
厳格さのある声で止めたのはクロヴィスだった。レオナールはクロヴィスを真っ直ぐに見た。
「お前にもしもがあれば。」
「大丈夫だ。」
「何を根拠に。」
「俺の剣の腕前はお前も認めてただろ?」
「確かに。しかし、今は話が違う。白の魔力を持った魔物だ。」
「もし、俺にリオと同等の力があったとしいたら?リオとは違い、俺には剣の腕もある。行くのは俺が適任だと思わないか?」
そこに息を切らした騎士が駆け寄った。ベルベットの袋を持っている。
「計測石です。」
レオナールは彼を労って、計測石を受け取った。
袋から、自身の左手に計測石を落とす。すると、里桜が触ったときの様に計測石は虹色に光り輝いていた。初めて見る騎士たちからどよめきが起きる。
「なっ。わかっただろう?」
クロヴィスにそう言って、近くの騎士にポーンと計測石を放った。
「リオを借りていく。」
そう言うと、里桜を肩に担いで庭の奥の方へ歩いて行ってしまった。
里桜が行く気ならば、力ずくでも止める気でいるようだ。魔力では圧倒的に強くても、力では無力だ。突破しようとすれば、誰かに担がれて部屋に連れていかれるだろう。魔力の差のある相手に魔力を使うつもりもない。ここは説き伏せるしかない。
「私に行かせて下さい。もし、ここで私が行かなければとしこさんは助からない。それはここにいるみんながわかっている事でしょう?それでも私に行かせないと言うの?」
「行かせません。力ずくでも止めます。」
イレールは強く大きな声で言い放つ。しかし、里桜も怯まない。利子の命が関わっている。決して良い関係性ではなかったが、利子は里桜にとって同じ日にこちらに来た運命共同体の様な存在だった。自分には助けられる術があるのにここで見捨てる事は出来なかった。
「ダメ。私が行きます。行かなければとしこさんが死ぬ。」
「行ったらリオ様が危険です。」
「あなたに私ととしこさんの命を選択をさせる様な事はさせない。そんな事をすればあなたは後悔する。」
「基よりその覚悟です。部下に止めろと命令は出来ませんが、私が力ずくで止めます。」
「退いて。」
「退きません。」
「ど……」
「待て。」
二人の会話を遮ったのはレオナールだ。
「悪いが、誰か急いで神殿より計測石を持て。」
返事をして、一人の騎士が走り去る。
「俺も、リオが現地へ行くことは許可出来ない。」
「だけど……」
「俺が行く。」
「それは、許さない。」
厳格さのある声で止めたのはクロヴィスだった。レオナールはクロヴィスを真っ直ぐに見た。
「お前にもしもがあれば。」
「大丈夫だ。」
「何を根拠に。」
「俺の剣の腕前はお前も認めてただろ?」
「確かに。しかし、今は話が違う。白の魔力を持った魔物だ。」
「もし、俺にリオと同等の力があったとしいたら?リオとは違い、俺には剣の腕もある。行くのは俺が適任だと思わないか?」
そこに息を切らした騎士が駆け寄った。ベルベットの袋を持っている。
「計測石です。」
レオナールは彼を労って、計測石を受け取った。
袋から、自身の左手に計測石を落とす。すると、里桜が触ったときの様に計測石は虹色に光り輝いていた。初めて見る騎士たちからどよめきが起きる。
「なっ。わかっただろう?」
クロヴィスにそう言って、近くの騎士にポーンと計測石を放った。
「リオを借りていく。」
そう言うと、里桜を肩に担いで庭の奥の方へ歩いて行ってしまった。