転生聖職者の楽しい過ごし方
「ちょっと、陛下。陛下。頭に血が…もぅ、人を荷物みたいに…。」
里桜は痛くない程度の力でレオナールの背中を叩く。
「国王を叩くとは、あの国で何を教わってきたんだ?」
レオナールが里桜を下ろしたのは、いつもお茶をしているガゼボだった。
「どうして、陛下に虹の魔力が?」
少し笑って、胸ポケットから長方形の紙を取り出し、里桜に見せる。
「見覚えがあるか?」
それは、横浜の古本屋さんで買った本に挟まっていた、白い花の押し花があしらわれたしおりだった。
「はい。私のしおりです。どこかに挟んだままにしてしまったと諦めていたら…」
「この飾りの白い花は、虹の女神が初代王に渡したとされる幻白花だ。」
「ファントムブルーム?」
「幻の白い花だ。この花には、持ち主の力が宿る。力を宿した花を渡せば、渡された相手にその力が分け与えられる。俺が貸した古記録に挟まっていた。」
「何でもない押し花に見えるけど…。」
「持ち主より力の弱い人間が見ると、白い花は輝いて見える…と建国神話では語り継がれていた。本当に存在するなど思いもしなかったが、実際にこの花がリオの魔力を俺に分けてくれたんだ。今の俺には虹の力がある。…だからきっと帰ってくる。」
レオナールは里桜に近づき、そっと里桜の頬に触る。そして、微笑みながら耳たぶを触る。
「このピアスが、魔石なんだな。ガラス玉のピアスかと思っていたが、力を得てからは虹色の光を放っている様に見える。最初から持っていたのに、黙っていたのか?」
「だって、これは自分で買った物だったし、石って言われると、宝石とかよりも河原の石みたいなの思い浮かべるでしょう?あんなの貰ったら忘れるわけないと思っていたけど…買ったピアス用の石だなんて。」
言い訳に一生懸命になっていて、レオナールがじっと見つめていることにも気付かないでいた。
「リオ。もし、俺に何かがあった時は、胸に入れたこのしおりをリオからジルベールに渡して欲しい。」
「それって…。」
「あぁ。ただ兄弟で俺が一番魔力が強かっただけで王の座に就いた。しかし、本来その能力を持つのはジルベールだ。リオがこの花をジルベールに渡せば、ジルベールに虹の力が与えられる。ジルベールが王になれる。」
「ヴァンドーム団長が黙って王座に就くと?」
「一苦労するだろうけどな。」
笑っていたレオナールは急に真面目な表情をする。
「この花がどんな物なのか、リオがそれでどんな立場になったのか理解したか?」
「?」
「この花とリオさえいれば、王家の血が少しでも入っていれば誰でも王座に就けるという事だ。リオがこの花をどうやって手に入れたのかは分からないが、この花は存在してはいけない花だ。幻の花の存在を知られれば、面倒なことになる。この事は誰にも言うなよ。リオの身が危ない。」
里桜は静かに頷いた。
「心配ならちゃんと帰ってきて下さい。」
「あぁ。もちろんそのつもりだ。まだ、やり残したことが沢山ある。」
レオナールは笑って、王宮に戻っていった。
里桜は痛くない程度の力でレオナールの背中を叩く。
「国王を叩くとは、あの国で何を教わってきたんだ?」
レオナールが里桜を下ろしたのは、いつもお茶をしているガゼボだった。
「どうして、陛下に虹の魔力が?」
少し笑って、胸ポケットから長方形の紙を取り出し、里桜に見せる。
「見覚えがあるか?」
それは、横浜の古本屋さんで買った本に挟まっていた、白い花の押し花があしらわれたしおりだった。
「はい。私のしおりです。どこかに挟んだままにしてしまったと諦めていたら…」
「この飾りの白い花は、虹の女神が初代王に渡したとされる幻白花だ。」
「ファントムブルーム?」
「幻の白い花だ。この花には、持ち主の力が宿る。力を宿した花を渡せば、渡された相手にその力が分け与えられる。俺が貸した古記録に挟まっていた。」
「何でもない押し花に見えるけど…。」
「持ち主より力の弱い人間が見ると、白い花は輝いて見える…と建国神話では語り継がれていた。本当に存在するなど思いもしなかったが、実際にこの花がリオの魔力を俺に分けてくれたんだ。今の俺には虹の力がある。…だからきっと帰ってくる。」
レオナールは里桜に近づき、そっと里桜の頬に触る。そして、微笑みながら耳たぶを触る。
「このピアスが、魔石なんだな。ガラス玉のピアスかと思っていたが、力を得てからは虹色の光を放っている様に見える。最初から持っていたのに、黙っていたのか?」
「だって、これは自分で買った物だったし、石って言われると、宝石とかよりも河原の石みたいなの思い浮かべるでしょう?あんなの貰ったら忘れるわけないと思っていたけど…買ったピアス用の石だなんて。」
言い訳に一生懸命になっていて、レオナールがじっと見つめていることにも気付かないでいた。
「リオ。もし、俺に何かがあった時は、胸に入れたこのしおりをリオからジルベールに渡して欲しい。」
「それって…。」
「あぁ。ただ兄弟で俺が一番魔力が強かっただけで王の座に就いた。しかし、本来その能力を持つのはジルベールだ。リオがこの花をジルベールに渡せば、ジルベールに虹の力が与えられる。ジルベールが王になれる。」
「ヴァンドーム団長が黙って王座に就くと?」
「一苦労するだろうけどな。」
笑っていたレオナールは急に真面目な表情をする。
「この花がどんな物なのか、リオがそれでどんな立場になったのか理解したか?」
「?」
「この花とリオさえいれば、王家の血が少しでも入っていれば誰でも王座に就けるという事だ。リオがこの花をどうやって手に入れたのかは分からないが、この花は存在してはいけない花だ。幻の花の存在を知られれば、面倒なことになる。この事は誰にも言うなよ。リオの身が危ない。」
里桜は静かに頷いた。
「心配ならちゃんと帰ってきて下さい。」
「あぁ。もちろんそのつもりだ。まだ、やり残したことが沢山ある。」
レオナールは笑って、王宮に戻っていった。