転生聖職者の楽しい過ごし方
「どうした?具合でも悪いのか?先ほどから元気がないようだが。」
ベッドに入って、いつもの様に話をしていると、レオナールは覗き込む様にしてきた。
「いいえ。そんなことありません。今日も美味しくお料理を頂きましたし、リナのハーブティも飲みましたから、元気です。」
レオナールに笑ってみせるが、騙されてくれる気はない様だった。
「今日、アリーチェ様とベルナルダ様のお住まいに挨拶へ伺いました。」
「それで、何かあったのか?」
「いいえ。ただ、婚約中に沢山のお妃教育をさせて頂いて、王妃の振る舞いについても勉強しましたが、どうしてもお相手が年上だと思うと上手く振る舞えないんです。リナやアナスタシアなどには今は慣れましたが、お相手に慣れるまで待って頂くわけにも参りませんし…上手く振る舞えず、少し落ち込んでいます。王妃って難しいです。」
「そんな事か。リオはもう充分に王妃の振る舞いになっている。別に言葉遣いなどこれからどうともなるから、気にするな。」
レオナールの笑顔に里桜はほっとする。
「そう言えば、陛下。」
「ん?なんだ?」
「デボラに…新枕から三日は新妻の元に通うのがここでのしきたりだと聞きましたが、三日はもう過ぎました。今日も私の所で良いのですか?お小言を言う前に陛下がしきたりを守るなんて珍しいとデボラが言っていたので。」
「何を言っている。これから毎日、俺はリオとこの部屋で寝る。」
レオナールは里桜を抱き寄せた。
「リオはこちらへ来て間もない時に短刀を出して、自分が望まない結婚はしないと言っただろう?」
「はい。言いました。」
「あれには驚かされたが…俺もずっとそう思っていた。好いた相手ではないと自分も相手も周りも不幸にする。それを俺は幼い頃から父の後宮で見てきた。だから、結婚は自分で決めてするのだと決めていた。ベルナルダもアリーチェもそうして妃に迎えた。しかし…」
レオナールはぎゅっと里桜の手を握った。
「嫌いではないだけだった。リオを知ってからは、それがよく分かってしまった。こうして触れるのはリオだけが良い。グローブの刺繍の意味覚えているか?」
「‘君の素肌に触れて良いのは俺だけだ’と言う意味だったと。」
「実はそれ以外にもある。」
里桜は眉間に深いしわを寄せる。それを見たレオナールは苦笑いをした。
「怒るなリオ。もう一つの意味は‘俺も君以外の素肌を決して触れない’だ。あんな公の場で誓ってしまったのだから、違えることがあれば笑いものになる。だから男は躊躇って婚約者にも渡さない。伝説の風習なんだ。」
レオナールは笑った。
「女だけに貞操を誓わせるのはおかしいだろう?」
「でも、それではお二人が…」
「あぁ。二人にも心があり、思いもあるだろう。」
里桜は俯く。
「アリーチェとは、互いに望んで認めた結婚とは言っても、本質的には政略結婚だった。」
ベッドに入って、いつもの様に話をしていると、レオナールは覗き込む様にしてきた。
「いいえ。そんなことありません。今日も美味しくお料理を頂きましたし、リナのハーブティも飲みましたから、元気です。」
レオナールに笑ってみせるが、騙されてくれる気はない様だった。
「今日、アリーチェ様とベルナルダ様のお住まいに挨拶へ伺いました。」
「それで、何かあったのか?」
「いいえ。ただ、婚約中に沢山のお妃教育をさせて頂いて、王妃の振る舞いについても勉強しましたが、どうしてもお相手が年上だと思うと上手く振る舞えないんです。リナやアナスタシアなどには今は慣れましたが、お相手に慣れるまで待って頂くわけにも参りませんし…上手く振る舞えず、少し落ち込んでいます。王妃って難しいです。」
「そんな事か。リオはもう充分に王妃の振る舞いになっている。別に言葉遣いなどこれからどうともなるから、気にするな。」
レオナールの笑顔に里桜はほっとする。
「そう言えば、陛下。」
「ん?なんだ?」
「デボラに…新枕から三日は新妻の元に通うのがここでのしきたりだと聞きましたが、三日はもう過ぎました。今日も私の所で良いのですか?お小言を言う前に陛下がしきたりを守るなんて珍しいとデボラが言っていたので。」
「何を言っている。これから毎日、俺はリオとこの部屋で寝る。」
レオナールは里桜を抱き寄せた。
「リオはこちらへ来て間もない時に短刀を出して、自分が望まない結婚はしないと言っただろう?」
「はい。言いました。」
「あれには驚かされたが…俺もずっとそう思っていた。好いた相手ではないと自分も相手も周りも不幸にする。それを俺は幼い頃から父の後宮で見てきた。だから、結婚は自分で決めてするのだと決めていた。ベルナルダもアリーチェもそうして妃に迎えた。しかし…」
レオナールはぎゅっと里桜の手を握った。
「嫌いではないだけだった。リオを知ってからは、それがよく分かってしまった。こうして触れるのはリオだけが良い。グローブの刺繍の意味覚えているか?」
「‘君の素肌に触れて良いのは俺だけだ’と言う意味だったと。」
「実はそれ以外にもある。」
里桜は眉間に深いしわを寄せる。それを見たレオナールは苦笑いをした。
「怒るなリオ。もう一つの意味は‘俺も君以外の素肌を決して触れない’だ。あんな公の場で誓ってしまったのだから、違えることがあれば笑いものになる。だから男は躊躇って婚約者にも渡さない。伝説の風習なんだ。」
レオナールは笑った。
「女だけに貞操を誓わせるのはおかしいだろう?」
「でも、それではお二人が…」
「あぁ。二人にも心があり、思いもあるだろう。」
里桜は俯く。
「アリーチェとは、互いに望んで認めた結婚とは言っても、本質的には政略結婚だった。」