転生聖職者の楽しい過ごし方
第9話 転生十六日目
「…と言う事でございまして。」
コンコンコン。 ‘失礼致します’ と控えめなリナの声がした。講習中にリナが声かけてくる事は珍しい。アナスタシアと視線を合わせ、アナスタシアが‘どうぞ’と返事をした。
「お勉強中に大変失礼致します。リオ様に救世主トシコ様よりお茶のお誘いがございます。」
「あらっ。リオ様、お受けになってよろしいと思いますよ。リナさんそれはいつです?少し練習・・」
「それが今日の午後からなんです。」
「あらっ。まぁ。急ですこと。このことは教育係のリリアンヌ様はご存じなのかしら。」
今日これからも、アナスタシアからの講習とダンスレッスンでみっちりと予定は埋まっている。
「今日は講習の変更が出来ないと、お返事を致しましょう。明日の午後ならお時間作れますと添えて。」
「はい。わかりました。」
リナの用意したカードに丁寧に返事を書き、リナに託す。
「ちょっと、講習の内容とは話がそれますが、ちょうど良いのでお茶会についてお話しよと思います。私も、そろそろ、実践としてお茶会への参加をする時期だと思っていたところでしたので。舞踏会もございますし。ご令嬢を含めて、爵位のある方々のお名前や出自など覚えて頂きましたが、顔が一致しない事には意味もございませんし。舞踏会当日にお話の相手が居た方が、リオ様も退屈なさらないでしょう。」
里桜に送られてきたお茶会の招待状は、危険がないか、リナが確認し封を開け、今のところ全てお断りの手紙を書いていた。
今日新しく届いた招待状はリナが開封した後、アナスタシアが預かっていた。
∴∵
「リオ嬢の今後の扱いなんだが…」
レオナールの執務室でクロヴィスが切り出す。
「リナ・オリヴィエが剣の達人だと言う事も分かっているが、本人が魔力をちゃんと使いこなせるまで、魔力が強くて護衛が出来る人間を探していたんだ。そしたらアナスタシア嬢が快く引き受けてくれた。」
書類を一枚ひらりと差し出す。
「それで、神殿の聖徒として身を置いて貰おうと思う。寮の部屋はアナスタシア嬢の祖母の使っていた部屋が空き部屋になっているからそこにする。」
「あぁ。あの伝説の大聖徒の部屋か。」
「それと、これを機にアナスタシア嬢も神殿に身を置いて貰う事になった。建前は聖徒としてだが、リオ嬢の侍女だ。それなら、教育係との建前で、四六時中一緒に居ても怪しまれにくいだろう。一介の聖徒が二人も侍女を連れて、しかも一人は公爵令嬢としたら目立って怪しまれるからな。」
レオナールは、手を組んだところに顎を置く。
「アニアは元から魔力が強すぎて、父のシド尊者も心配していた。令嬢として失礼のないようにマナーの教育をする傍ら、聖徒として仕えられる様に幼い頃から色々と教え込まれていたからな。」
「本人もそう言っていたよ。そんなに彼女は魔力が強いのか?」
「あぁ。大聖徒の娘、つまり、アニアの母はそれほどでもなかったようだが、アニアは大聖徒譲りの強さで、洗礼式の時は俺よりも鮮やかで強い赤色だった。その時以来、アニアが自分の魔力について話す事はなくなったが。それじゃ、アニアを侍女とし、リオを神殿へ所属させる事を許可する。」
王だけが持つ印を押すと、書類をクロヴィスへ戻した。
「それで、トシコ嬢はまた練習の催促をしてきたか?」
レオナールは手を止めて、クロヴィスに問いかける。
「何日か候補をあげたら納得したようだと、部下が言っていた。」
「そうか。」
「付き合ってやるのか?ダンスレッスンなんて。」
「行き掛かり上、リオとちょっと踊ってしまったから、一度は付き合わないとバランスがとれないだろう?」
コンコンコン。 ‘失礼致します’ と控えめなリナの声がした。講習中にリナが声かけてくる事は珍しい。アナスタシアと視線を合わせ、アナスタシアが‘どうぞ’と返事をした。
「お勉強中に大変失礼致します。リオ様に救世主トシコ様よりお茶のお誘いがございます。」
「あらっ。リオ様、お受けになってよろしいと思いますよ。リナさんそれはいつです?少し練習・・」
「それが今日の午後からなんです。」
「あらっ。まぁ。急ですこと。このことは教育係のリリアンヌ様はご存じなのかしら。」
今日これからも、アナスタシアからの講習とダンスレッスンでみっちりと予定は埋まっている。
「今日は講習の変更が出来ないと、お返事を致しましょう。明日の午後ならお時間作れますと添えて。」
「はい。わかりました。」
リナの用意したカードに丁寧に返事を書き、リナに託す。
「ちょっと、講習の内容とは話がそれますが、ちょうど良いのでお茶会についてお話しよと思います。私も、そろそろ、実践としてお茶会への参加をする時期だと思っていたところでしたので。舞踏会もございますし。ご令嬢を含めて、爵位のある方々のお名前や出自など覚えて頂きましたが、顔が一致しない事には意味もございませんし。舞踏会当日にお話の相手が居た方が、リオ様も退屈なさらないでしょう。」
里桜に送られてきたお茶会の招待状は、危険がないか、リナが確認し封を開け、今のところ全てお断りの手紙を書いていた。
今日新しく届いた招待状はリナが開封した後、アナスタシアが預かっていた。
∴∵
「リオ嬢の今後の扱いなんだが…」
レオナールの執務室でクロヴィスが切り出す。
「リナ・オリヴィエが剣の達人だと言う事も分かっているが、本人が魔力をちゃんと使いこなせるまで、魔力が強くて護衛が出来る人間を探していたんだ。そしたらアナスタシア嬢が快く引き受けてくれた。」
書類を一枚ひらりと差し出す。
「それで、神殿の聖徒として身を置いて貰おうと思う。寮の部屋はアナスタシア嬢の祖母の使っていた部屋が空き部屋になっているからそこにする。」
「あぁ。あの伝説の大聖徒の部屋か。」
「それと、これを機にアナスタシア嬢も神殿に身を置いて貰う事になった。建前は聖徒としてだが、リオ嬢の侍女だ。それなら、教育係との建前で、四六時中一緒に居ても怪しまれにくいだろう。一介の聖徒が二人も侍女を連れて、しかも一人は公爵令嬢としたら目立って怪しまれるからな。」
レオナールは、手を組んだところに顎を置く。
「アニアは元から魔力が強すぎて、父のシド尊者も心配していた。令嬢として失礼のないようにマナーの教育をする傍ら、聖徒として仕えられる様に幼い頃から色々と教え込まれていたからな。」
「本人もそう言っていたよ。そんなに彼女は魔力が強いのか?」
「あぁ。大聖徒の娘、つまり、アニアの母はそれほどでもなかったようだが、アニアは大聖徒譲りの強さで、洗礼式の時は俺よりも鮮やかで強い赤色だった。その時以来、アニアが自分の魔力について話す事はなくなったが。それじゃ、アニアを侍女とし、リオを神殿へ所属させる事を許可する。」
王だけが持つ印を押すと、書類をクロヴィスへ戻した。
「それで、トシコ嬢はまた練習の催促をしてきたか?」
レオナールは手を止めて、クロヴィスに問いかける。
「何日か候補をあげたら納得したようだと、部下が言っていた。」
「そうか。」
「付き合ってやるのか?ダンスレッスンなんて。」
「行き掛かり上、リオとちょっと踊ってしまったから、一度は付き合わないとバランスがとれないだろう?」