転生聖職者の楽しい過ごし方
「リオ様、やっと王都に入りました。王宮まであと少しでございますね。」
「あと一日かかるけど、ここまで来たらやっぱり安心できるよね。」
「しかし、リオ様。」
「何?ジョルジュ。」

 王妃の馬車を使ってはいるが、女神祭り自体は神殿主催の神事であるため、道中は神官のジョルジュも侍っている。

「沢山のお土産を頂戴してよろしかったのでしょうか…。」
「良いに決まっているでしょう。マーガレット神官にもよろしく伝えてね。本当は、安産のお祈りに行ってあげたいのだけど、それはさすがに内輪贔屓になるからって、養父(ちち)に止められたの。それが出来ない代わりにお土産は受け取って。」

 ジョルジュとマーガレットは、里桜とレオナールの結婚後直ぐに入籍し、もうすぐめでたく第一子が誕生する予定だ。二人のなれそめを聞いたとき、ジョルジュが‘リオ様の愚痴で盛り上がった’とぽろっと口走った事は聞こえなかったことにしている。

「でも、出産に間に合って本当に良かった。ジョルジュが立ち会えないようなことがあったらどうしようかと思っていたの。」
「実は私も、今回の女神祭りは他の方に供人をお願いしようと思っていたのですが、マーガレットが絶対に行かなくてはダメだと言うもので。」
「あらっ、もう家内の主導権はしっかりマーガレットが持っているのね。」

 リナやアナスタシアも笑顔になる。

「年の割にしっかり者で。あと、もう一つご相談がありまして。」
「何?」
「私たちの子供が男でも女でも‘リオ’と名付けてもよろしいでしょうか?陛下のお名前を頂戴するなど、とても畏れ多い・・」

 里桜はぎゅっとジョルジュの手を握った。アナスタシアとリナはこれがレオナールの見えないところで良かったと、内心ほっとしていた。

「もちろん。二人の子供に私の名前を付けてくれるの?こんなに嬉しいことはないよ。ありがとうジョルジュ。」
「いいえ。私の方こそ、快く許して頂き、感謝致します。」

 そんなことを話していると、最後の宿泊地、ハーレイの街に着いた。
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