転生聖職者の楽しい過ごし方
第16話 利子
「リンデル。コーヒーを頂戴。」
「はい。畏まりました。」
突然、私が転生してから二週間。已然どの創作物に来てしまったのかはナゾ。
でも、魔法は先生に教えてもらって順調に身についてるし、舞踏会では王様にエスコートしてもらえるし。
だけど、やっぱり気になるのはあの同じ日に転生してきた‘はやさき りお’よね。あの子がこの物語りにどう関わってどう言う役割なのか・・・
その辺も含めお茶に誘って確かめよう。
「トシコ様、本日のコーヒーは隣国ゲウェーニッチで採れました、とても希少なコーヒーでございます。」
「そう。んー良い香り。残りのコーヒーは仕事後に皆で飲んで。お菓子はマクロン商会から貰った焼き菓子があったでしょう?それを皆さんでどうぞ。」
「トシコ様。ありがとうございます。」
「良いのよ。リンデル。」
だって、私にはこの国がお金を出してくれるんだもの。コーヒーも食材も着る物も、コーヒーカップ一つだって、一流品。私は救世主なんだからそれくらいで当然でしょ?
∴∵
「リンデル。今日仕立屋の持ってきた生地、綺麗な深紅だったでしょう?」
「陛下へご覧に入れなくてよろしいのですか?」
皆、そう言うの。だって今回着ようが、次にしようが私が王様と結婚するのは変わりないんだもん。良いじゃない。
今回は先にハワード侯爵が私のドレスを作るって名乗り出ちゃったから王様は私にプレゼント出来なかっただけで、本当なら深紅のドレスを私に作ってプレゼントしてくれたはずだし。
そうだ。新しいメイドの子に試してみて出来たこと・・・ゆっくりと、しっかりと、相手を操りたいと心でイメージしてその瞳を見ながら、それを言葉にする。
「ねぇ。リンデル。」
「はい。何でしょう?」
「今日から私の言う事は全部聞き入れてね。ねぇリンデル。今日の生地、綺麗な深紅だったでしょう?王様も気に入って下さるわよね?そうでしょ、リンデル。」
「その通りでございます。トシコ様。」
やっぱり、出来た。出来た。これで、ハワード侯爵もジェラルド伯爵も、王様だってみんな私の思うとおりに動いてくれる。私はもう誰にも惨めな思いをさせられない。だって私は救世主だし。こう言うの創作物では良く魅了の魔法とか言うよね。これで、私はこの世界で楽しく暮らしていける。
∴∵
「今日のお茶は最悪だったわ。ねぇリンデル。渡り人のせいで気分が悪いから今日はお酒を頂戴。赤のワインが良い。」
「はい。トシコ様。」
何なのあの生意気な態度。自分がさも賢いみたいに。自分が全て正しいみたいに。偉そうに。
男爵って一番下の階級でしょ?下級貴族は貴族と言えども力がないのよ。力がない者は誰かに虐げられる。それは階級があるこの国だけの話じゃない。
親はろくに働く事もせず、年子の兄貴は私の食べ物を横取りする。
洋服も近所の知らない人のお下がり、男物も女物も関係なく着させられて、学校で使う道具も全部お下がり。新品なんて買ってもらえなかった。それがどんなに惨めで悲しかったか。
だけど、私はこの世界へ来ることが出来た。今まで我慢したこと全部をここで叶えるの。だってそのための今までだったんだから。これがどの創作物だってもう構わない。
絶対に王妃になるの。だって私がこの物語のヒロインなんだから。
「トシコ様。本日のワインは我が国の北東にあるドライフの赤ワインでございます。こちらは栽培面積が狭く大変希少な品種から作られているワインで、しっかりと熟成させた深みのあるワインでございます。」
「ありがとう。私一人では飲みきれないわ、残った物は飲める人で飲んで頂戴。何かおつまみも出して差し上げて。」
「はい。トシコ様。」
きっとあの子には私のあの惨めさは分からない。だから言えるのよ。努力しても這い上がれない人間だっているの。私が王妃になって力がない人間がどんなに惨めな思いをするかあの子にも分からせてあげる。
「リンデル。」
「はい。トシコ様。」
「そうじゃない。私は、《《救世主トシコ様》》よ。」
「はい。救世主トシコ様。」
「はい。畏まりました。」
突然、私が転生してから二週間。已然どの創作物に来てしまったのかはナゾ。
でも、魔法は先生に教えてもらって順調に身についてるし、舞踏会では王様にエスコートしてもらえるし。
だけど、やっぱり気になるのはあの同じ日に転生してきた‘はやさき りお’よね。あの子がこの物語りにどう関わってどう言う役割なのか・・・
その辺も含めお茶に誘って確かめよう。
「トシコ様、本日のコーヒーは隣国ゲウェーニッチで採れました、とても希少なコーヒーでございます。」
「そう。んー良い香り。残りのコーヒーは仕事後に皆で飲んで。お菓子はマクロン商会から貰った焼き菓子があったでしょう?それを皆さんでどうぞ。」
「トシコ様。ありがとうございます。」
「良いのよ。リンデル。」
だって、私にはこの国がお金を出してくれるんだもの。コーヒーも食材も着る物も、コーヒーカップ一つだって、一流品。私は救世主なんだからそれくらいで当然でしょ?
∴∵
「リンデル。今日仕立屋の持ってきた生地、綺麗な深紅だったでしょう?」
「陛下へご覧に入れなくてよろしいのですか?」
皆、そう言うの。だって今回着ようが、次にしようが私が王様と結婚するのは変わりないんだもん。良いじゃない。
今回は先にハワード侯爵が私のドレスを作るって名乗り出ちゃったから王様は私にプレゼント出来なかっただけで、本当なら深紅のドレスを私に作ってプレゼントしてくれたはずだし。
そうだ。新しいメイドの子に試してみて出来たこと・・・ゆっくりと、しっかりと、相手を操りたいと心でイメージしてその瞳を見ながら、それを言葉にする。
「ねぇ。リンデル。」
「はい。何でしょう?」
「今日から私の言う事は全部聞き入れてね。ねぇリンデル。今日の生地、綺麗な深紅だったでしょう?王様も気に入って下さるわよね?そうでしょ、リンデル。」
「その通りでございます。トシコ様。」
やっぱり、出来た。出来た。これで、ハワード侯爵もジェラルド伯爵も、王様だってみんな私の思うとおりに動いてくれる。私はもう誰にも惨めな思いをさせられない。だって私は救世主だし。こう言うの創作物では良く魅了の魔法とか言うよね。これで、私はこの世界で楽しく暮らしていける。
∴∵
「今日のお茶は最悪だったわ。ねぇリンデル。渡り人のせいで気分が悪いから今日はお酒を頂戴。赤のワインが良い。」
「はい。トシコ様。」
何なのあの生意気な態度。自分がさも賢いみたいに。自分が全て正しいみたいに。偉そうに。
男爵って一番下の階級でしょ?下級貴族は貴族と言えども力がないのよ。力がない者は誰かに虐げられる。それは階級があるこの国だけの話じゃない。
親はろくに働く事もせず、年子の兄貴は私の食べ物を横取りする。
洋服も近所の知らない人のお下がり、男物も女物も関係なく着させられて、学校で使う道具も全部お下がり。新品なんて買ってもらえなかった。それがどんなに惨めで悲しかったか。
だけど、私はこの世界へ来ることが出来た。今まで我慢したこと全部をここで叶えるの。だってそのための今までだったんだから。これがどの創作物だってもう構わない。
絶対に王妃になるの。だって私がこの物語のヒロインなんだから。
「トシコ様。本日のワインは我が国の北東にあるドライフの赤ワインでございます。こちらは栽培面積が狭く大変希少な品種から作られているワインで、しっかりと熟成させた深みのあるワインでございます。」
「ありがとう。私一人では飲みきれないわ、残った物は飲める人で飲んで頂戴。何かおつまみも出して差し上げて。」
「はい。トシコ様。」
きっとあの子には私のあの惨めさは分からない。だから言えるのよ。努力しても這い上がれない人間だっているの。私が王妃になって力がない人間がどんなに惨めな思いをするかあの子にも分からせてあげる。
「リンデル。」
「はい。トシコ様。」
「そうじゃない。私は、《《救世主トシコ様》》よ。」
「はい。救世主トシコ様。」