転生聖職者の楽しい過ごし方
第22話 利子
「リンデル、もう少し飲みたいわ。ワインを持ってきて頂戴。」
「はい。救世主トシコ様。」
どうすれば、前の様に魔法が使える様になるの?私、魔力が使えなくなるの?
利子は、リンデルの後ろ姿を見ている。リンデルは私に刃向かわない。だって私がそう命じて、そう暗示をかけているから。リンデルには私の魔術が使えている。
今日、茶会で会った人たちは口々に私を褒める。なんとかって言う怪獣も私が倒したって。私の力は素晴らしいものだって。これでこの国は安泰だって。何故なら私が王妃になるから。
魔力がなくなっても?私は王妃になれる?
私の功績は侯爵にもなれるって。でも、本当は違う。私はやっていない。だけどやったはずのあの子が私がやったと言わない。どうして?
それに王様や宰相や他の人たちも、知っているはずなのに私の手柄になることに誰も異を唱えない。何故?
どうして私はやっていないことで皆に褒められ敬われているの?本当にこれでいいの?
誰かが私を嵌めようとしているの?それならば、それは誰?何のため?
「救世主トシコ様、ワインお持ちしました。本日の赤ワインは長期熟成しており、複雑で力強い味わいのワインでございます。」
「ありがとう。」
「はい。救世主トシコ様。」
私がこの話のヒロインだとすると、悪役は彼女。…ならば、彼女が討伐してもそれを言い出さないのは私を嵌めるため?私が得意げになっているところで…断罪イベントの様な事が起こるとか?
だったら、私が本当に活躍すれば良いんじゃない?前にリリアンヌが言っていたっけ、『この国には三百年前に救世主様が張った結界があって、その外には瘴気が流れています。結界が壊れればその瘴気が入ってきて、有りと有らゆる物に影響を及ぼします。』って。そして、結界は少しずつ劣化をしていく、だからその張り直しのために私たちが呼ばれたのだと。どうせ私が張り直さなくちゃいけないなら、その前に少し壊すのはどう?
そして現れた怪獣を倒し、結界を張り直せば、私は名実共に救世主になる。そうすれば、侯爵になることを反対している人たちも今度こそ私を侯爵にせざる得なくなる。
そのためにも、今度は皆の目の前で討伐しなくちゃ。
私が侯爵になれば、皆は私に跪く。王妃になる障壁すらもなくなる。王様は私と結婚するほか無くなるの。そうよ。それが良い。怪獣が出ること分かっていれば、倒すのだって簡単じゃない。
そうと決まれば、早く行動しなくちゃ。
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転生聖職者の楽しい過ごし方
22話 利子 を読んで頂き、ありがとうございます。
別小説で、転生聖職者の楽しい過ごし方【閑話集】を更新しました。
若き国王レオナール
マルゲリット王女
の2話です。
閑話集の方は不定期ですが、利子と里桜の周りの人たちの話を主に書いています。
(本編に登場しない人物の話もあります。)
本編では書けなかった設定や生い立ちが書いていければと思っています。
あまり長くない文字数で書いています。
よろしければ、そちらも読んで頂ければうれしいです。
赤井タ子ーAkai・Takoー
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「はい。救世主トシコ様。」
どうすれば、前の様に魔法が使える様になるの?私、魔力が使えなくなるの?
利子は、リンデルの後ろ姿を見ている。リンデルは私に刃向かわない。だって私がそう命じて、そう暗示をかけているから。リンデルには私の魔術が使えている。
今日、茶会で会った人たちは口々に私を褒める。なんとかって言う怪獣も私が倒したって。私の力は素晴らしいものだって。これでこの国は安泰だって。何故なら私が王妃になるから。
魔力がなくなっても?私は王妃になれる?
私の功績は侯爵にもなれるって。でも、本当は違う。私はやっていない。だけどやったはずのあの子が私がやったと言わない。どうして?
それに王様や宰相や他の人たちも、知っているはずなのに私の手柄になることに誰も異を唱えない。何故?
どうして私はやっていないことで皆に褒められ敬われているの?本当にこれでいいの?
誰かが私を嵌めようとしているの?それならば、それは誰?何のため?
「救世主トシコ様、ワインお持ちしました。本日の赤ワインは長期熟成しており、複雑で力強い味わいのワインでございます。」
「ありがとう。」
「はい。救世主トシコ様。」
私がこの話のヒロインだとすると、悪役は彼女。…ならば、彼女が討伐してもそれを言い出さないのは私を嵌めるため?私が得意げになっているところで…断罪イベントの様な事が起こるとか?
だったら、私が本当に活躍すれば良いんじゃない?前にリリアンヌが言っていたっけ、『この国には三百年前に救世主様が張った結界があって、その外には瘴気が流れています。結界が壊れればその瘴気が入ってきて、有りと有らゆる物に影響を及ぼします。』って。そして、結界は少しずつ劣化をしていく、だからその張り直しのために私たちが呼ばれたのだと。どうせ私が張り直さなくちゃいけないなら、その前に少し壊すのはどう?
そして現れた怪獣を倒し、結界を張り直せば、私は名実共に救世主になる。そうすれば、侯爵になることを反対している人たちも今度こそ私を侯爵にせざる得なくなる。
そのためにも、今度は皆の目の前で討伐しなくちゃ。
私が侯爵になれば、皆は私に跪く。王妃になる障壁すらもなくなる。王様は私と結婚するほか無くなるの。そうよ。それが良い。怪獣が出ること分かっていれば、倒すのだって簡単じゃない。
そうと決まれば、早く行動しなくちゃ。
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転生聖職者の楽しい過ごし方
22話 利子 を読んで頂き、ありがとうございます。
別小説で、転生聖職者の楽しい過ごし方【閑話集】を更新しました。
若き国王レオナール
マルゲリット王女
の2話です。
閑話集の方は不定期ですが、利子と里桜の周りの人たちの話を主に書いています。
(本編に登場しない人物の話もあります。)
本編では書けなかった設定や生い立ちが書いていければと思っています。
あまり長くない文字数で書いています。
よろしければ、そちらも読んで頂ければうれしいです。
赤井タ子ーAkai・Takoー
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