転生聖職者の楽しい過ごし方
第37話 披露
「フィリップ様、ジゼル様本日はおめでとうございます。」
「渡り人のリオ様、アナスタシア様、お忙しい中を私共のためにご足労頂きありがとうございます。」
ジゼルは花の顔と言った美丈夫な青年の隣で、若葉色のドレスに身を包みこちらまで温かい気持ちになる様な笑顔を向けている。
「リオ様本当にお忙しい中ありがとうございます。」
「いいえ。ジゼル様のご結婚のお披露目会ですから、私も何としても出席させて頂きたかったので。」
「ジゼルおめでとう。」
「アニアお姉様も来て下さり、ありがとうございます。」
フィリップはジゼルに二、三言話して里桜とアナスタシアに挨拶をするとその場を離れていった。
「初めてお会いしたけど、優しそうで素敵な方ね。」
「ありがとうございます。」
里桜の褒め言葉に自分が褒められたかの様にジゼルは頬を染めた。
「フィルとは幼い頃から結婚が決まっておりましたので、許嫁であり幼なじみなのですけれど。おかしなもので周りの方々に‘夫婦’と言われると、そのような関係になって行くもので…。夫としてフィルを見たとき、これ以上の男性はいないと思いましたの。彼にこんな気持ちを持つなど、思いもしませんでしたが。」
里桜とアナスタシアは照れながら話すジゼルを微笑ましく見守る。
「そう言えば。」
ジゼルは、パチンと軽く両手を叩いた。
「リオ様。私はとっても誇らしく、とっても嬉しく思います。」
里桜の両手を包み込む様に握る。
「この前のジーウィンズの魔獣討伐。リオ様が自らお出ましになって退治されたと。」
里桜とアナスタシアは目を合わせる。
「リオ様の今までの不名誉な噂。私とても不愉快に思っておりました。私の知るリオ様は、勉強熱心で誠実でとても優しい方なのに、世の噂は真逆でしたから。でも、この度の魔獣討伐でリオ様がご活躍なさったこと聞きまして本当に嬉しくて。」
「ジゼル様、その話はどなたから?」
「今日もいらして頂いていると…。」
ジゼルは周りを見渡す。
「あっ。あそこにいらっしゃいました。ボラン子爵です。直接伺えたわけではないのですが、アルーヌ様から聞きました。」
事情が掴めていない様子の里桜に、アナスタシアは耳打ちをする。
「ボラン子爵はアルーヌ様のお父上でございます。」
∴∵
広間での歓談が終り、ダイニングルームでの食事となった。里桜は左隣のボラン子爵にまず挨拶をした。
「リオ尊者様。討伐の折は本当にありがとうございました。海水での消火も塩による攻撃も。オベール副団隊長のお怪我のことも。」
「副団隊長のお怪我はロベール様とシド様の治療のおかげです。」
「次の日にリオ尊者様がいらして、胸の痛みと倦怠感を取ってくれたと。今日この会でお目にかかると言ったらお礼を伝えてくれと言われました。」
「そうですか。もったいないお言葉です。」
右隣のアナスタシアが、里桜にそっと合図をした。それを知ったのか、右斜め前に座るクロヴィスが口を開く。
「リオ嬢、私から紹介させて頂くが、こちら、ダニエル・オードラン伯だ。我が国の外務大臣をしている。そして、あちらがアネット夫人。君がダンスレッスンを受けているコラリー夫人の娘さんだ。」
里桜は二人にまずは型通りの挨拶をした。すると、しゃべり始めたのは、アネットだった。
「母から聞いて、一度お会いしたかったのですけれど、機会もなく。私が催すお茶会では、お若い渡り人様は退屈をしてしまうだろうし、何より母から渡り人様の忙しさは聞いていましたし。ジゼルとお付き合いがあると聞いていたので、今日こそはお会いできると楽しみにしていましたら、お席も近くになって。もう私、何から聞けば良いのか…。」
里桜はにこやかに話を聞きながらも、自分を取り巻く人たちの爵位の高さに身のすくむ様な思いだった。
「渡り人のリオ様、アナスタシア様、お忙しい中を私共のためにご足労頂きありがとうございます。」
ジゼルは花の顔と言った美丈夫な青年の隣で、若葉色のドレスに身を包みこちらまで温かい気持ちになる様な笑顔を向けている。
「リオ様本当にお忙しい中ありがとうございます。」
「いいえ。ジゼル様のご結婚のお披露目会ですから、私も何としても出席させて頂きたかったので。」
「ジゼルおめでとう。」
「アニアお姉様も来て下さり、ありがとうございます。」
フィリップはジゼルに二、三言話して里桜とアナスタシアに挨拶をするとその場を離れていった。
「初めてお会いしたけど、優しそうで素敵な方ね。」
「ありがとうございます。」
里桜の褒め言葉に自分が褒められたかの様にジゼルは頬を染めた。
「フィルとは幼い頃から結婚が決まっておりましたので、許嫁であり幼なじみなのですけれど。おかしなもので周りの方々に‘夫婦’と言われると、そのような関係になって行くもので…。夫としてフィルを見たとき、これ以上の男性はいないと思いましたの。彼にこんな気持ちを持つなど、思いもしませんでしたが。」
里桜とアナスタシアは照れながら話すジゼルを微笑ましく見守る。
「そう言えば。」
ジゼルは、パチンと軽く両手を叩いた。
「リオ様。私はとっても誇らしく、とっても嬉しく思います。」
里桜の両手を包み込む様に握る。
「この前のジーウィンズの魔獣討伐。リオ様が自らお出ましになって退治されたと。」
里桜とアナスタシアは目を合わせる。
「リオ様の今までの不名誉な噂。私とても不愉快に思っておりました。私の知るリオ様は、勉強熱心で誠実でとても優しい方なのに、世の噂は真逆でしたから。でも、この度の魔獣討伐でリオ様がご活躍なさったこと聞きまして本当に嬉しくて。」
「ジゼル様、その話はどなたから?」
「今日もいらして頂いていると…。」
ジゼルは周りを見渡す。
「あっ。あそこにいらっしゃいました。ボラン子爵です。直接伺えたわけではないのですが、アルーヌ様から聞きました。」
事情が掴めていない様子の里桜に、アナスタシアは耳打ちをする。
「ボラン子爵はアルーヌ様のお父上でございます。」
∴∵
広間での歓談が終り、ダイニングルームでの食事となった。里桜は左隣のボラン子爵にまず挨拶をした。
「リオ尊者様。討伐の折は本当にありがとうございました。海水での消火も塩による攻撃も。オベール副団隊長のお怪我のことも。」
「副団隊長のお怪我はロベール様とシド様の治療のおかげです。」
「次の日にリオ尊者様がいらして、胸の痛みと倦怠感を取ってくれたと。今日この会でお目にかかると言ったらお礼を伝えてくれと言われました。」
「そうですか。もったいないお言葉です。」
右隣のアナスタシアが、里桜にそっと合図をした。それを知ったのか、右斜め前に座るクロヴィスが口を開く。
「リオ嬢、私から紹介させて頂くが、こちら、ダニエル・オードラン伯だ。我が国の外務大臣をしている。そして、あちらがアネット夫人。君がダンスレッスンを受けているコラリー夫人の娘さんだ。」
里桜は二人にまずは型通りの挨拶をした。すると、しゃべり始めたのは、アネットだった。
「母から聞いて、一度お会いしたかったのですけれど、機会もなく。私が催すお茶会では、お若い渡り人様は退屈をしてしまうだろうし、何より母から渡り人様の忙しさは聞いていましたし。ジゼルとお付き合いがあると聞いていたので、今日こそはお会いできると楽しみにしていましたら、お席も近くになって。もう私、何から聞けば良いのか…。」
里桜はにこやかに話を聞きながらも、自分を取り巻く人たちの爵位の高さに身のすくむ様な思いだった。