転生聖職者の楽しい過ごし方
第41話 淑女
「お褒め頂き、ありがとうございます。」
「いいえ。素晴らしい成果でございます。本日お作り頂いた魔剣は国軍へ渡すと致しましょう。」
「はい。尊者よりお渡し願います。」
「はい。畏まりました。それではまた明日、同じ時刻に。」
「はい。ありがとうございました。」
利子はレイベスを見送ってから、自分も神殿の個室を出た。扉の両脇に侍女と国軍兵士がいる。
「お待たせ。では、部屋へ帰りましょう。あっその前に図書室へ行きたいの。」
侍女と兵士は短い返事をして、利子の後ろを歩く。
∴∵
「ジョルジュ神官、後で構いませんのでこの書類をシド尊者様に渡して下さい。あと、アナスタシアさんに・・」
「リオ様。お言葉が。」
里桜はジョルジュの方を見て苦笑いをした。
「大目に見ていただけませんかね?」
「リオ様。お言葉が。」
エシタリシテソージャへ外遊するにあたり、レオナールから課せられた条件の一つが淑女としての振る舞い。その一つとして言葉遣いを矯正中でジョルジュはアナスタシアより見張り役を仰せつかっている。
「ジョルジュ、後でこの書類をシド尊者に渡して頂戴。それと、アナスタシアに治療所へ向うと伝えて頂戴。」
「はい。リオ様。」
里桜がふてくされた様にジョルジュを見ていると、ジョルジュは少しため息を吐いた。
「リオ様は今この神殿で最も尊いお方なのです。私はそんなお方にお仕え出来ていることを誇りに思っております。リオ様の朗らかで馴染みやすいお人柄も大変好ましく感じますが、今リオ様に必要なのはその地位に相応しい振る舞いです。地位に相応しい振る舞いがまたこの地位にさせるのだと言う事を忘れないで下さい。」
里桜はジョルジュの目を真っ直ぐに見て一つ頷く。
「ジョルジュ、ありがとう。あなたの言葉、胸に刻みます。では、もう出かけるからアナスタシアを呼んできて頂戴。」
「はい。畏まりました。」
∴∵
「はー疲れた。リナさん今日は・・」
伸びをした状態で後ろを歩くリナに話しかけようとして、アナスタシアやジョルジュの視線が刺さった。上げた腕を静かに下ろして何事もなかった振りで歩く。
「リオ様、言葉遣いが上手くいかないからと喋らないのでは、上達も致しません。ゆっくりで構いませんので、思ったことをきちんとお話し下さい。」
「今日はとても疲れたの。リナ、今夜はカモミールティーにしてもらえる?あと、夕食は軽めにして欲しいの。」
「はい。畏まりました。」
「宜しくお願いね。」
里桜がアナスタシアの方を見ると、にっこり笑って頷いた。
「あっあと、エシタリシテソージャのことを少し調べたいから図書室へ行きたいの。ジョルジュは書類をシド尊者に渡したら帰って構わないから。」
「はい。リオ様。では私はここで失礼致します。」
「はい。お疲れ様。また明日も宜しくね。」
ジョルジュは笑いながら一礼して、神殿の方へ歩いて行った。
「りおさん。」
里桜が声に振り向くと、そこには侍女と兵士を連れた利子がいた。
「としこさん。」
「今日はもうお仕事は終わり?」
「えぇ。としこさんは?」
「今日は少し図書室に寄ったの。自分の無知が災害級の大火を生んでしまった訳だし。魔獣についてきちんと学んでおかないとね。あぁ。あなた、りおさんの侍女だったの?」
利子はアナスタシアの方を見る。アナスタシアは黙っている。
「じゃあ、りおさんの侍女を借りてしまっていたのね。りおさん、その節はご不便をかけてごめんなさい。」
「ううん。大丈夫だよ。リナもいるし、不便なんて。」
「そう言えば、りおさん来月エシタリシテソージャへ外遊に行くって。」
「うん。陛下はとしこさんもって言っていたけど…」
「えぇ。お話しは聞いたけど、私はまだ他にも勉強しなければいけないことが沢山あるから。今回は遠慮させて頂いたの。」
「そう。」
「この前のお米や味噌や醤油が名産品なんでしょう?陛下は私も行ったら懐かしい料理が食べられるかもと言っていたけど、それより今は同じ過ちを繰り返さないことが重要だものね。あっごめんなさい。忙しい時に立ち話しで足止めしてしまって。」
「あぁ。ううん、良いの。もう仕事は終わっているし。それじゃ。」
「えぇ。じゃあ。りおさん、勉強と仕事で忙しそうだけど、お体を大切にね。」
「ありがとう。としこさんも。」
利子が去る後ろ姿を里桜は見ていた。
「トシコ様はお変わりになりましたね。」
アナスタシアは少し不思議な物を見た様な口調で言った。
「元いた世界では経験しない出来事ですから。としこさん、きっと色々考えたんだと思います。今も仮設住居に住まざる得ない人々もいますし。それが自分が起こした火災でとなると…辛いと思います。」
アナスタシアは里桜の方を見てにっこり笑う。
「リオ様、お言葉が。」
「はい。」
「いいえ。素晴らしい成果でございます。本日お作り頂いた魔剣は国軍へ渡すと致しましょう。」
「はい。尊者よりお渡し願います。」
「はい。畏まりました。それではまた明日、同じ時刻に。」
「はい。ありがとうございました。」
利子はレイベスを見送ってから、自分も神殿の個室を出た。扉の両脇に侍女と国軍兵士がいる。
「お待たせ。では、部屋へ帰りましょう。あっその前に図書室へ行きたいの。」
侍女と兵士は短い返事をして、利子の後ろを歩く。
∴∵
「ジョルジュ神官、後で構いませんのでこの書類をシド尊者様に渡して下さい。あと、アナスタシアさんに・・」
「リオ様。お言葉が。」
里桜はジョルジュの方を見て苦笑いをした。
「大目に見ていただけませんかね?」
「リオ様。お言葉が。」
エシタリシテソージャへ外遊するにあたり、レオナールから課せられた条件の一つが淑女としての振る舞い。その一つとして言葉遣いを矯正中でジョルジュはアナスタシアより見張り役を仰せつかっている。
「ジョルジュ、後でこの書類をシド尊者に渡して頂戴。それと、アナスタシアに治療所へ向うと伝えて頂戴。」
「はい。リオ様。」
里桜がふてくされた様にジョルジュを見ていると、ジョルジュは少しため息を吐いた。
「リオ様は今この神殿で最も尊いお方なのです。私はそんなお方にお仕え出来ていることを誇りに思っております。リオ様の朗らかで馴染みやすいお人柄も大変好ましく感じますが、今リオ様に必要なのはその地位に相応しい振る舞いです。地位に相応しい振る舞いがまたこの地位にさせるのだと言う事を忘れないで下さい。」
里桜はジョルジュの目を真っ直ぐに見て一つ頷く。
「ジョルジュ、ありがとう。あなたの言葉、胸に刻みます。では、もう出かけるからアナスタシアを呼んできて頂戴。」
「はい。畏まりました。」
∴∵
「はー疲れた。リナさん今日は・・」
伸びをした状態で後ろを歩くリナに話しかけようとして、アナスタシアやジョルジュの視線が刺さった。上げた腕を静かに下ろして何事もなかった振りで歩く。
「リオ様、言葉遣いが上手くいかないからと喋らないのでは、上達も致しません。ゆっくりで構いませんので、思ったことをきちんとお話し下さい。」
「今日はとても疲れたの。リナ、今夜はカモミールティーにしてもらえる?あと、夕食は軽めにして欲しいの。」
「はい。畏まりました。」
「宜しくお願いね。」
里桜がアナスタシアの方を見ると、にっこり笑って頷いた。
「あっあと、エシタリシテソージャのことを少し調べたいから図書室へ行きたいの。ジョルジュは書類をシド尊者に渡したら帰って構わないから。」
「はい。リオ様。では私はここで失礼致します。」
「はい。お疲れ様。また明日も宜しくね。」
ジョルジュは笑いながら一礼して、神殿の方へ歩いて行った。
「りおさん。」
里桜が声に振り向くと、そこには侍女と兵士を連れた利子がいた。
「としこさん。」
「今日はもうお仕事は終わり?」
「えぇ。としこさんは?」
「今日は少し図書室に寄ったの。自分の無知が災害級の大火を生んでしまった訳だし。魔獣についてきちんと学んでおかないとね。あぁ。あなた、りおさんの侍女だったの?」
利子はアナスタシアの方を見る。アナスタシアは黙っている。
「じゃあ、りおさんの侍女を借りてしまっていたのね。りおさん、その節はご不便をかけてごめんなさい。」
「ううん。大丈夫だよ。リナもいるし、不便なんて。」
「そう言えば、りおさん来月エシタリシテソージャへ外遊に行くって。」
「うん。陛下はとしこさんもって言っていたけど…」
「えぇ。お話しは聞いたけど、私はまだ他にも勉強しなければいけないことが沢山あるから。今回は遠慮させて頂いたの。」
「そう。」
「この前のお米や味噌や醤油が名産品なんでしょう?陛下は私も行ったら懐かしい料理が食べられるかもと言っていたけど、それより今は同じ過ちを繰り返さないことが重要だものね。あっごめんなさい。忙しい時に立ち話しで足止めしてしまって。」
「あぁ。ううん、良いの。もう仕事は終わっているし。それじゃ。」
「えぇ。じゃあ。りおさん、勉強と仕事で忙しそうだけど、お体を大切にね。」
「ありがとう。としこさんも。」
利子が去る後ろ姿を里桜は見ていた。
「トシコ様はお変わりになりましたね。」
アナスタシアは少し不思議な物を見た様な口調で言った。
「元いた世界では経験しない出来事ですから。としこさん、きっと色々考えたんだと思います。今も仮設住居に住まざる得ない人々もいますし。それが自分が起こした火災でとなると…辛いと思います。」
アナスタシアは里桜の方を見てにっこり笑う。
「リオ様、お言葉が。」
「はい。」