シリアル・ホラー
 それ以来、ボクは嫌いなヤツはみんな妄想の中で殺すようになった。
 一番気持ちがいいのはナイフで滅多刺しにするやり方だけど、他にもいろいろなやり方で殺した。
 電車に乗っている時にうるさかった男子高校生二人組は、斧で手足を切断して苦しめてやった。両手両脚を切って芋虫のように転がし、蹴飛ばしながら罵声を浴びせるのは最高に気持ちがよかった。涙や鼻水を垂れ流しながら、ボクに許しを請うていた。もちろん、許したりなんかしない。ボクは徹底的に痛めつけ、最後に首を()ねてやった。

「日直、バケツ片付けておけよ~」

 給食後、牛乳のパックを洗うための水の入った廊下のバケツの水を捨て、綺麗に洗って乾かすのは日直の仕事だ。運悪くボクは今日、日直だった。新聞紙の上に置かれたバケツを持とうとした時、勢いよく倒れた。

「あ……」

 廊下に広がっていく牛乳を含んだ白い水。

「ああ~っ! なにやってんだよヤマザキ! 廊下びしょびしょじゃねぇか!」
「くっせ! おま、バカじゃねぇの!」
「おい、どうした!」

 担任の容崎がやって来た。

「あ、あの……」
「こいつがバケツをひっくり返したんです。ぼくたち、拭くの手伝いまーす」
「お、田原たち偉いな。ヤマザキ、気をつけろよ」
「あ……」

 容崎はボクに何も言わせず、そう言うと教室の中へ入っていった。
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