シリアル・ホラー
 ◆  ◆  ◆

「おはよう」

 翌朝私が教室へ入ると、みんなざわざわしていた。

「どうしたの?」

 友達のまりちゃんに聞くと、まりちゃんは真っ青な顔で振り向いた。

「の、野村くんたちが行方不明なんだって」
「え?」

 どういうこと? 見ると、教室中その話題で持ちきりだった。

「野村たち3人とも昨日家に帰ってなくて、親が警察に“そーさくねがい”とかってのを出したんだって。うちの親が言ってた」
「うちには遊びに来てないかって、達也くんのお母さんから電話があったよ」
「商店街の方歩いてたって、見た人がいるみたい」
「そういえば昨日あいつら、丸夫と帰ってたよな?」

 みんな一斉に丸夫くんの方を見る。丸夫くんは相変わらず、自分の席でぼーっとしていた。

「おい丸夫、野村たちどうしたんだよ」
「ん~?」

 丸夫くんはぬぼーっとした顔でみんなを見た。

「しぃ~らぁ~なぁ~いぃ~よぉ~」
「昨日の帰り、どこ行ったの? 野村くんたちといっしょに帰ったでしょ?」
「つじどーのぉ~、ハイコージョーの行ったよぉ~」
「辻堂の廃工場?」

 私たちは顔を見合わせた。

「そ、それ先生とかに言った?」
「んん~? 言ぃ~ってないよぉ~」
「言えよ!」

 男子の一人が教室を駆け出していった。黒沢先生に言いに行ったんだろう。
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