シリアル・ホラー
私はなんだか、胸の奥がザワザワしていた。

結局その日、3人は欠席だった。黒沢先生は3人を捜しに行ったのかそれとも警察に呼ばれたのかわからないけれど、一日姿を見せなかった。知らせに行った男子によれば、黒沢先生にはちゃんと廃工場のことは伝えたらしい。

「野村くんたち、大丈夫かな」

 なんだか不安ですぐに帰る気にならなかったから、校庭の鉄棒のところでみんなで集まっていた。まりちゃんが不安そうに、ブランコを揺らした。

「廃工場ってさ、“出る”っていうよな」

 男子の一人が言う。昌樹くんっていう、ゲームオタクだ。吉村くんたちとはグループが違っている。

「“出る”って」
「これ」

 昌樹くんはオバケのマネをした。

「や、やめてよ!」

 まりちゃんは目をつぶって、払い除けるように手を振った。

「なぁ、行ってみねぇ?」
「え?」

 昌樹くんのゲーム仲間の佐々木くんだ。

「行くって…… 廃工場に?」
「うん。どうせ警察の捜査とかで、中には入れないだろうけどな」

 廃工場は商店街を抜けた先にあって、ここから歩いて15分くらいだ。暗くなる前には家に帰れるところにある。

「わ、わたしはイヤだよ。あそこは危ないから子どもは近寄っちゃいけないって先生に言われてるし」

 PTAの集まりで、家の親がもらってきたプリントにも書いてあった。使われなくなった機械とか部品とかがあって危ないとか。他にも浮浪者や不良の中学生とか高校生のたまり場になってるってのも聞いた。定期的にPTAや学校、警察官が見回りしてるから、前ほど怖くはなくなったらしいけど。
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