シリアル・ホラー
 中には入り口から見えた機械が、奥までたくさん並んでいた。三列に並んでいたから、私たちはまん中の通路を歩いていった。まだ午後で外は明るいけど、廃工場の中は薄暗くてなんとなく寒かった。

「野村く~ん!」
「達也く~ん!」
「真木くぅ~ん!」

 みんなそれぞれに名前を呼ぶ。誰もいない工場内に声が響く。

「ねぇちょっと、大声出さない方がよくない? 誰かに見つかっちゃうかも」
「不法侵入で捕まるってことか?」
「じゃあ、一応静かに探すか」

 私たちは辺りをきょろきょろしながら進んだ。機械が並んだところには誰もいなく、奥に鉄の扉があってそこに入った。

「事務所みたいだな」

 そこは学校の教室くらいの大きさで、机が6つで一つの班みたいになって置かれていた。どの机にも埃が積もって、ちょっと触りたくない。

「お洋服汚すと、ママに叱られちゃうんだけど」

 まりちゃんが言うが、誰も反応しなかった。

「誰もいねぇな」
「あ、見て!」

 まりちゃんが何か発見した。指さす方を見ると、床の埃の上に何人かの足跡があった。大きさから言って、間違いなく子どもの足跡だ。たくさんあって何人分かはわからないけど、確実に二人分以上はある。

「奥に続いてるね」

 奥は倉庫になっているようで、扉は外れて横倒しになっていた。事務室から見えるとこでは、鉄でできた棚が見える。窓があるのか、少し中は明るかった。

「行ってみよう」

 昌樹くんがそう行ったとき、奥から微かな声が聞こえた。
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