シリアル・ホラー
翌朝、登校すると当然のごとく学校中大騒ぎだった。

「東山死んだって本当かよ!?」
「教室で死んでたんだってよ」
「殺されたの?」
「自殺じゃねぇの?」
「病気じゃないよね」
「数学どうなるんだろう……」
「はい、みんな、席に着いて!」

 教室に副担任の川本が入ってきた。おばちゃんの美術の先生だ。みんなはザワザワしながらも、席に着いた。

「みなさんも知っての通り、東山先生が亡くなられました。今日はこの後、全校集会が開かれます。朝の学級活動の後、廊下に並んで体育館へ移動してください」

 僕はゆうじをチラ見した。ゆうじは普通の顔で前を向いている。あの後結局、返事はなかった。朝話しかけようとしたが、他のヤツに話しかけられてゆうじのところへ行けなかったんだ。ゆうじは自分の席に座って、誰とも話していなかった。

「ゆうじ」

 整列するために廊下へみんな移動し始めたタイミングで、僕はゆうじに声をかけた。

「ん?」

 ゆうじは何事もなかったかのような顔で、僕を見た。

「昨日LINEしたのに、なんで返事くれなかったんだよ」

 するとゆうじは苦笑いした。

「ああ悪い。返事したつもりになって忘れてた」
「忘れてたって」
「ほら、移動だぞ」
「あ」

 前が進み始めていた。僕は納得がいかないまでも、話を切り上げて早足で歩き出した。
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