シリアル・ホラー
「ということで、東山先生のご冥福をお祈りいたしましょう」

 全校集会では、校長から東山が死んだ経緯について説明があった。要するに心臓の病気で、突然の発作が出て亡くなったということだ。

「嘘だな」

 隣で誰かが呟いた。

「オレ、東山が救急車で運ばれるとこ見たんだ。ちょうど塾に行く時でさ。学校に救急車が停まってたから、なんかあったんだと思って見てたんだよ。そしたら……」

 そいつはさらに声を潜めた。周りのやつらも、つられて息を呑んだ。

「全身血まみれだったんだ」
「ヤダっ!」
「マジかよ」
「あれは絶対心臓発作とかの病気なんかじゃねぇ。東山は殺されたんだよ」
「そこ! 静かにしろ!」

 生徒指導の森田が、列を掻き分けて早足でやってきた。

「すいません」

 しゃべっていた男子を連れて、体育館を出て行った。みんなその様子を見ていたけれど、ゆうじはやはり前を向いたまま無表情だった。



「ゆうじ!」

 先を歩くゆうじを見つけて、僕は走って追いかけた。

「おお、まこと」

 今日は全校集会だけで学校は終わりだった。校門前にはマスコミが集まっていて、何人かがインタビューされていた。僕は声をかけてきたレポーターだかなんだかわからないお姉さんを振り切って、ゆうじを追いかけてきた。

「なんかすっげぇニュースになってんだな」

 こうして話していると、ゆうじに変わったところはない。いつものゆうじだ。
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