推しにおされて、すすむ恋
おし と くらすめいと

私、小鈴ゆの。

得意な科目は国語。
苦手な科目は数学。
髪型は茶色のボブヘアー。
中学二年生の、とある秘密がある女の子。

その秘密が何かっていうとね――


「わ~、今日に限って日直なんだもん。ツイてないよ~!」


課題を職員室に持って行った放課後。イノシシのごとく全力ダッシュをして……いたら近くの先生に怒られたから、早歩きで教室に戻って来た、現在。

急いでカバンの中からスマホを出し、素早く電源を入れる。あとは目当てのアイコンをタップするだけ!

ポチ


≪やっほー皆。今日ココに俺が出てるってことは、何の教科を勉強するか分かるよね?そう、数学だよー≫

「わぁぁぁ、ジャストタイミング!推しが来たよ~!」


もう教室には人がいないから、遠慮なく声に出す。

目の前に押しがいる幸せ。
世界のどこかで配信を行ってくれてるという事実。
それだけで、私の心が満たされていく……っ。


――そう。
私の「とある秘密」は、推しがいること。

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