推しにおされて、すすむ恋
「ごめんね、玲くん。私がお姉ちゃんの代わりなんて、務まるわけないのに」
「いや、違うよ。そうじゃなくて……」
「?」
グルリと皆へ視線を配った後、玲くんは口を閉じた。「ここだと言えない」って顔してる。
そこで玲くんは、控えめにヤタカに提案する。
「こんな時だけど……。少しだけ、ゆのと二人きりで話してもいい?」
「構わねーよ。チャイム鳴るまで、どうせ教室に帰れねーんだし」
カラカラ笑うヤタカにお礼を言った玲くんは、私の手をさらう。そして皆と反対方向へ移動した。
「あのさ、ゆの」
何やら覚悟を決めた顔で、黒い瞳に私を写す。動画の時と同じくらい、必死な顔つきだ。
「昨日、Neo‐Flash全員が集合する前。他の二人を待つ間、ステラと話をしたんだ。その時の事を、聞いてくれる?」
「え?うん、もちろん」