推しにおされて、すすむ恋
寝耳に水の話だった。
目をぱちくりさせる俺に、ステラはあっけらかんと答える。
「私の妹、ゆの。
配信見たけど、頭の回転が速い子でしょ?ステラの後継者は、ゆのしかいないわよ。っていうか、ヤタカも絶対〝入れ〟って言うと思う」
「……」
「ノア?」
「絶・対・だめ!」
ドンッと重たい一言が、知らないうちに、口から飛び出ていた。
珍しく大きな声を出した俺に、ステラも、そして俺自身も驚く。
「どうしてダメなの?配信中、ゆのと楽しそうに話してたじゃない」
「た、楽しかったけど、ダメ。
ゆの、すっごく頑張って配信に参加してたんだから。これ以上に無理させちゃ悪いでしょ?」
ゆのと楽しそうに話してる事がバレて、戸惑う俺を隠しつつ。当たり障りない言葉を選ぶ。
もちろん機微に聡いステラは、半信半疑で俺の話を聞いている。「ふーむ」と呟く声は、不満一色だ。
「聞くんだけど、それってノアの独占欲?」
「へ?」
「俺のゆのを見ないで。見てイイのは俺だけ!
ってことよね?」
「え……。
――――あっ!」
顔を赤く染めた俺が珍しいのか。
まるで美術品を前にしているかのごとく、ステラが隅々まで俺を眺める。