推しにおされて、すすむ恋
「え~、あーそうくるかぁ。ふぅん」
部屋の中で喋りまくる、という癖。
この現象は半年前くらいから始まって、最初こそ「何してるの?」って聞いたけど、いつも適当にあしらわれて終わり。
なんでもないよ~って言われるから、(気になるけど)もう聞かないことにした。
「でも絶対に誰かと喋ってるんだよねぇ……。相手の声は聞こえないけどさ」
誰かと話してるような相槌にも聞こえるし、電話してるのは間違いない。のだけど……一向に相手を教えてくれない。
だから私は、こっそり「彼氏が出来たんだ」って思うようにしてる。
今日もしかり。
お姉ちゃんは、部屋でうなってる。
一応、お風呂を出たことは伝えておこうかな。
「お姉ちゃん、お風呂どうぞ~」
「この声は……ゆの⁉
ちょうど良かった、入って!」
「んえ⁉」
突然ひらいたドアから、ニュッと腕が伸び私を掴む。そのまま部屋の中に引きこまれた。
「び、ビックリしたよ!どうしたの?
……って、なにこれ?」