推しにおされて、すすむ恋


「え~、あーそうくるかぁ。ふぅん」


部屋の中で喋りまくる、という癖。

この現象は半年前くらいから始まって、最初こそ「何してるの?」って聞いたけど、いつも適当にあしらわれて終わり。

なんでもないよ~って言われるから、(気になるけど)もう聞かないことにした。


「でも絶対に誰かと喋ってるんだよねぇ……。相手の声は聞こえないけどさ」


誰かと話してるような相槌にも聞こえるし、電話してるのは間違いない。のだけど……一向に相手を教えてくれない。

だから私は、こっそり「彼氏が出来たんだ」って思うようにしてる。


今日もしかり。
お姉ちゃんは、部屋でうなってる。

一応、お風呂を出たことは伝えておこうかな。


「お姉ちゃん、お風呂どうぞ~」
「この声は……ゆの⁉
ちょうど良かった、入って!」
「んえ⁉」


突然ひらいたドアから、ニュッと腕が伸び私を掴む。そのまま部屋の中に引きこまれた。


「び、ビックリしたよ!どうしたの?
……って、なにこれ?」

< 13 / 152 >

この作品をシェア

pagetop