推しにおされて、すすむ恋


「フードをかぶってマスクもしてたけど、俺と目が合った時の、女の子の顔。信じられない者を見た目――

俺のファンだって、すぐ分かった。

だからこそ、すごい焦ったよ。もし人物特定され拡散されたら、どうしようって」
「それが問題になってないって事は……結局、大丈夫だったのね?」

「うん。実は俺、その時ステラにメールを送ってるんだよ」
「えぇ⁉」


グループ結成時、俺たちは画面を通して顔合わせを済ましていた。だから、メンバーの顔は知ってたんだ。

あの日、同じ場所にいた女の子は、どこかステラに似ていて……。表情や仕草によっては、ステラ本人?って錯覚するくらい。だからステラに、確認のメールを送った。



【ステラ、双子か妹いる?】



するとステラは思い出したのか「そう言えばメールもらった!」と手を叩く。



【二つ下に妹がいるよ。確かB組。
小鈴ゆのっていうの。すっごく可愛いんだから♪
それがどうしたの?】



「いきなり何?って思ったけど、そんな非常事態中だったなんてね。

……え?待って。

じゃあ同じ場所にいた女の子って、もしかして」
「そう、ゆのだよ」
「っ!」


驚いたステラは、両手で口をおおう。
俺がメールの返事を見た時と似た反応してて、少し面白い。

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