推しにおされて、すすむ恋
「そんな偶然があるんだ……」
「俺もビックリしたよ。同じ場所にいる子が、まさかステラの妹だったなんて。しかも同じクラスで、俺の前の席の子」
「顔を見ただけで、同じクラスだって分からなかったの?」
「その時は、全然ゆのと喋ってなかったからね」
「それが今じゃベタ惚れだもんねぇ」ニシシと笑うステラ。しっかり俺に聞こえるよう言うあたり、意地が悪い。
「それで、ヤタカに相談したのね?」
「一応ね。ステラの妹に身バレするかもって言ったんだけど……。ヤタカ、なんて言ったと思う?」
当時の会話を思い出して顔をほころばせる間、ステラは腕を組んで唸る。
「〝いつかは身バレするんだからドーンと構えておけ!〟とか?」
「言いそうだけど、ちがう。
ヤタカはね、すごいアッサリだったんだ」
あの時――
『スルーで問題ないな』
『え、なんで?』
『その子、ステラの妹なんだろ?じゃあ他人に言いふらさねーよ』
『えらく信用してるね……』
『だってステラが〝そう〟だろ。信用できる奴じゃん。
だから、大丈夫だ』