推しにおされて、すすむ恋

話し終わると、うるんだステラの瞳に、夕日がキラリと反射した。

ハンカチを出そうとすると、「大丈夫」と押し返される。なんとか涙をこらえるつもりらしい。


「ヤタカはその時から、私とゆのを信じていたのね」
「そうだね。俺、ヤタカの言葉を聞いてハッとしてさ。メンバーの妹を疑ってどうするんだって、反省した。
だから、その時からヤタカには頭が上がらないんだ」
「ここぞという時にリーダー顔するの、ズルいわよね」


口では文句を言うけど……。
耳が赤くなっているのは、本人に言わない方がいいか。


「その日から、ゆのに興味を持ったんだ。俺(ノア)が真後ろにいる事も知らないで、俺の動画を見たり、俺のSNSをチェックしたり。〝今日も最高にカッコよかった〟とか、コメントしてくれるし。

ゆのってば、ノアのことになると、ずっとニコニコ笑っててさ。傍から見ていて、すごく可愛かったんだ」


ファンの子って、いつもこんなに俺たちの事を気にしてくれてるんだって思ったら、嬉しかった。俺らの動画が勉強の役に立っているのも、感無量だなって。

< 134 / 152 >

この作品をシェア

pagetop