推しにおされて、すすむ恋
話し終わると、うるんだステラの瞳に、夕日がキラリと反射した。
ハンカチを出そうとすると、「大丈夫」と押し返される。なんとか涙をこらえるつもりらしい。
「ヤタカはその時から、私とゆのを信じていたのね」
「そうだね。俺、ヤタカの言葉を聞いてハッとしてさ。メンバーの妹を疑ってどうするんだって、反省した。
だから、その時からヤタカには頭が上がらないんだ」
「ここぞという時にリーダー顔するの、ズルいわよね」
口では文句を言うけど……。
耳が赤くなっているのは、本人に言わない方がいいか。
「その日から、ゆのに興味を持ったんだ。俺(ノア)が真後ろにいる事も知らないで、俺の動画を見たり、俺のSNSをチェックしたり。〝今日も最高にカッコよかった〟とか、コメントしてくれるし。
ゆのってば、ノアのことになると、ずっとニコニコ笑っててさ。傍から見ていて、すごく可愛かったんだ」
ファンの子って、いつもこんなに俺たちの事を気にしてくれてるんだって思ったら、嬉しかった。俺らの動画が勉強の役に立っているのも、感無量だなって。