推しにおされて、すすむ恋
「でも俺が話しかけたら、あんな風には笑ってくれないんだよね。一線を引かれてるっていうかさ。
あくまで心を開くのは、推しのノアだけって感じで。初めて一緒に帰った時も、本当にぎこちなかったよ」
「あらら、自分に嫉妬しちゃったのね」
「うん。例え相手が自分であっても、悔しかったな。自分(ノア)に負けたくないって思った。
どうしたらゆのが笑ってくれるか。
俺を意識してくれるかって。
そんな事ばかり思ってた」
だんだんと声が弾む俺に、ステラは何も言わなかった。俺に優しい眼差しを向け、口には弧を描いている。
「合宿にゆのが参加するって聞いて、楽しみだったんだ。もっと仲良くなれたらいいなって思ったよ。
だけど合宿当日、ゆのが何か悩んでるって知った。どうしたの?って聞いても、相談してくれないし……頼ってくれなくて寂しかったよ。それに、ゆのがリムチ―と仲良くしてるのも嫌だった」
自分でも驚くほど、次から次に言葉が出る。
実は俺、あの時、こんな風に思っていたんだって。話すごとに、新たな自分を発見した。
そして知っていく。
俺がどれだけゆのを好きか、ってことを。