推しにおされて、すすむ恋


「それに、合宿での企画。ゆのがロマンチックなセリフを言うのも……実は嫌だった」
「ここまでくると、嫉妬の鬼ね」
「う……」


もう認めるしかない。
これが嫉妬で、これが俺なんだ。
誰にも渡したくない、ゆのを独り占めしたいんだ。

ごめん、ゆの。
俺って、けっこう厄介な男だよ。


「合宿を通して気づいた。
俺は、ゆのが好きなんだって。
ゆのは俺のことを〝推しのノア〟としか思ってないかもしれないけど……。

俺は、一人の女の子として、ゆのが好きなんだ」


俺だけに笑ってほしい。
リスナーに、ロマンチックなことなんて言わないで。相手が男の人だろうと、女の人だろうと、



『確かめてみて。私の瞳の中――
玲くんと星空、どっちが写ってる?』



あんなセリフ、俺以外の誰かに言わないで。
それを聞くのは、俺だけがいい。

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