推しにおされて、すすむ恋
一通り話終えると、まるで今まで息を止めていたように。「は~」と、ステラが長い息を吐き出した。すごい満足した顔をしてる。
「ノアの話を聞いてると、少女漫画を読んだ気分になれるわ」
「それ、褒めてるの?」
「ベタ褒めよ」
「でも」と、ステラ。
「ヤタカは、ゆのをメンバーに入れるだろうね」
「何としても止めたいな。骨が折れそうだけど」
「Neo‐Flashのこととなると人の話きかないからね、ヤタカは」
「ゆのも、ノアの事を引き合いに出されたら断れなさそうだし」
するとステラが「あ」と、気まずそうに俺を見る。
「そう言えば私も、ゆのに仮ステラを頼むときに、〝ノアの私生活が見られるかもよ〟ってそそのかしちゃった」
「……はぁ」
ため息の中に、いくつもの不安が混じる。
だって心配だよ。
もしもNeo‐Flashに入ったことで、ゆのに何かあったらって。動画をアップする限り、リスクは生まれ続ける。
でも――仮ステラになってまで、合宿に参加した君のことだから。ヤタカに「メンバーになって」と押されたら、きっと頷くだろう。
「まぁ、色々心配は生まれるだろうけどさ」
難しい顔をした俺を元気づけるよう、ステラが背中を叩く。