推しにおされて、すすむ恋

「俺の勘違いだったらいけないから、確認させてほしい」


耳元で、玲くんのかすれた声が聞こえる。
抱きしめ合った体から、どちらとも分からない心臓の音が響く。


「俺たち、同じ気持ち?」
「おなじ、同じ……っ。
私の好きな人は、玲くんなの」
「――っ、そっか」


力が入っていた肩が、カクンと下がる。

肩だけじゃなくて、玲くんの体全体が柔らかくなって……このまま崩れ落ちちゃわないように、彼の背中に手を回した。


「ごめんね。俺てっきり、ゆのはノアが好きなのかと思って」
「ノアは推しとして好きだよ。でも玲くんは、一人の男の子として好きなの」
「……その言葉、破壊力ありすぎるね」


え!
自分が言った言葉を、急いで思い出す。

……本当だ!
私、かなり恥ずかしい事を言っちゃってる!

そりゃ玲くんも、顔を赤くするよね!
顔をそらしたくなるよね!


「わぁあ!ご、ごめんッ」


体が熱くなりすぎて、汗が背中を伝い始める。

これ以上に抱きしめ合ったら、汗かいてるのがバレちゃう!それに、におっちゃうかも!
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