推しにおされて、すすむ恋
茶髪のロングヘアを揺らしながら、お姉ちゃんは手を叩いて笑う。
屈託なく笑う可愛いお姉ちゃんを見て、なぜか綾瀬くんを思い出した。
『小鈴さんって、お姉さんいる?』
『俺、小鈴さんのお姉さん知ってるよ』
『っていうか、知りすぎてると思う』
綾瀬くんは、どうしてお姉ちゃんを知っていたんだろう。でもお姉ちゃんって学校では目立ってるし、可愛いし綺麗だし……綾瀬くんが知っていても、不思議はないよね。
もしかして綾瀬くんって、お姉ちゃんのこと好きなのかな?
もし、そうだったら――ん?
なんで私、こんなに綾瀬くんのことを考えてるんだろう。
お姉ちゃんが、推しが所属するグループの一員だって知った、こんな重要な時に!
「じゃあ、今までブツブツ言ってたのは……」
「撮影してたからだよ。パソコンとイスは、動画を取るために勉強してたら、私の成績も上がったから、お父さんお母さんがご褒美に買ってくれたの」
「えぇ!ズルい!私もNeo‐Flashの動画見て、勉強がんばってるのに!」