推しにおされて、すすむ恋
「ま、欲がないのが、ゆのの良い所か。大丈夫、この際だから言っておくけど、例えバレてもメンバーの皆はゆのを責めないよ。っていうか、責められるのは私だし?」
アハハ、と笑ったお姉ちゃんは「それより」と、眉を下げて私を見る。
「私は、メンバーのプライベートを見ても、ゆのがドン引きしないか心配なのよ」
「え、それって、どういう……」
「ファン、辞めないでね……」
「?」
すると、パソコンからピロンと音が鳴る。画面の端に「Neo‐Flashルーム、解放しました」と通知が表示されていた。
「あ、ルームに集まる時間だ。
さあ、ゆの。行ってらっしゃい!」
「えぇぇ!」
「あ、カメラはパソコンの真ん中についてるからね」
「動画も撮影するの⁉」
「急に〝動画に切り替えよう〟って事もあるのよ。今日は〝音声だけ〟の日だから、たぶん大丈夫だけどね」
「行き当たりばったりすぎるって~!」
だけど、あれよあれよと言う間に、私はフカフカな椅子に座らされる。
その間に、画面の端に「ノアが入室しました」と、新たな通知が表示された。