推しにおされて、すすむ恋
【ちょっと雨が降って来たから、雨宿り。家に帰って改めて配信してもいいかな?ごめんね】
もちろんリスナーの皆、満場一致で「OK」って言った時。下校中の私も、ちょうど雨に降られていて、雨宿りしてたんだ。その間に、もう一度ノアがSNSを更新したの。
【どこかの壁に、もたれる俺】
その一文と一緒に、頭からフードを被った、ノアの見切れた写真が投稿された。もちろん、顔は全く写ってない。「あーあ残念。でも雰囲気までカッコイイな」って思っていたんだけど……気づいたの。
背景の壁が、私の背後にある壁とソックリだって事に。
少し離れた場所に、フードを被った男の人がいる事に。
『――ッ!』
まさか、ノア?
ビックリして、何も言えなくて……。だんだん大きくなる心臓の音だけが、やけに響いた。
もしかしたら、隣にいる人はノアかもしれない――
まさかの出来事に、頭はパニック寸前。声をかけることは出来なくて、ただ見つめることしか出来なかった。