推しにおされて、すすむ恋

楽しんできてね!と言うと、なぜか綾瀬くんは顔を隠した。
ん?肩がプルプル震えてる……?


「綾瀬くん、笑ってる?」
「ごめん、小鈴さんがツボで……っ」

「私!?何かしたかな?」
「いや、いいんだ。うん、ふふ」


本当に楽しいんだろうな。いつもキリッとした綾瀬くんの目が、ふんにゃり柔らかい雰囲気になってる。

屈託なく笑う綾瀬くんを見ると、なんとなく嬉しくなって。私もつられて笑った。


「昨日も思ったんだけどさ、綾瀬くんて話しやすいよね」
「え、俺?そうかな」

「そうだよ。私ね、自分の推しの話とか、今まで人に出来なかったの。私一人が盛り上がって、その場の空気を下げちゃったらどうしようとか……しなくていい心配をしちゃって」
「ふぅん?」


綾瀬くんは、コテンと首を傾ける。
そして「一つ聞くんだけど」と、顎に手をやった。


「Neo‐Flashのノアは、〝人に話して共感されない〟ような男なの?」
「え!そんな事ないよ、絶対にそんな事ない!ノアはカッコいいもん。話したら、きっと聞いた人が皆〝推せる!〟って言えるくらい、魅力的な人!」
「…………そ、そっか」

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