推しにおされて、すすむ恋
綾瀬くんがほほ笑んでくれると、笑ってくれてる~と思って嬉しいんだけど……ちょっと恥ずかしい。
だって綾瀬くん、本当にイケメンなんだもん。
ずっと聞きたいくらい、聞く声も心地いいし!
「(あれ?そういえば……)」
昨日、ノアの声を聞いた時も、心地いいって思った。ずっと聞いていたいって。
それにノアの声を聞いた時、ふと綾瀬くんを思い出した。
あれは、なんでだろう?
ん~と、頭にハテナを浮かべて悩んでいると。
チョイチョイと、後ろから肩を叩かれる。
見ると、なんとなんと。
イスから腰を浮かせた綾瀬くんが、私の耳へ近づいていた。
「今日の放課後も、一緒に帰らない?」
「え?」
「小鈴さんに、聞いてほしいことがあるんだ」
「わ、分かった……!」
私に聞いてほしいこと?
なんだろ。
テーピングのやり方、とか?
でもアレ、動画を見ただけのにわか知識だよ?
グルグル考えても分からない。
瞼も重くなってきて……。
あ、そうか。寝不足だからだ。
寝不足+苦手な数学の授業=脳の限界。
「(ぐぅぅ、がんばれ私~!)」
放心状態になりながら。
黒板に並ぶ、めまぐるしい数字を追いかけた。
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